経文
きょうもん
名詞
標準
scriptural text
文例 · 用例
そして経文を引用してある中に、海水の鹹苦な理由を説明する阿含経の文句が挙げてある。
— 寺田寅彦 『断片(2)』 青空文庫
其時日朝上人というのは線香の光で経文を写したという話を観行院様から聞いて、大層眼の良い人だと浦山しく思いました。
— 幸田露伴 『少年時代』 青空文庫
シロオテはそれにむかって、なにやら経文を、ひくく読みあげていた。
— 太宰治 『地球図』 青空文庫
須利耶さまは写しかけの経文に、掌を合せて立ちあがられ、それから童子さまを立たせて、紅革の帯を結んでやり表へ連れてお出になりました。
— 宮沢賢治 『雁の童子』 青空文庫
法華経見宝塔品という経文の中に、多宝塔(この宝塔の中には如来全身有す)という塔が地中より涌き上って空中に止まり、その中に多宝如来と釈迦仏とが並んで座せられる場面が書いてあります。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
」 この数分時の言の中に、小次郎法師は、生れて以来、聞いただけの、風と水と、鐘の音、楽、あらゆる人の声、虫の音、木の葉の囁きまで、稲妻のごとく胸の裡に繰返し、なおかつ覚えただけの経文を、颯と金字紺泥に瞳に描いて試みたが、それかと思うのは更に分らぬ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
「はッあ、」 と退って、僧に背を摺寄せながら、「経文を唱えて下せえ、入って来たわ、南無まいだ、なんまいだ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
袈裟のかげに隠れる、嘘の経文を読む、貰いの技巧を弄する、――応供の資格なくして供養を受ける苦脳には堪えきれなくなったのである。
— ――(消息に代えて)―― 『私を語る』 青空文庫