拱門
きょうもん
名詞
標準
archway
文例 · 用例
村の人達の湯にはまた溪ぎわへ出る拱門型に刳った出口がその厚い壁の横側にあいていて、湯に漬って眺めていると、そのアーチ型の空間を眼の高さにたかまって白い瀬のたぎりが見え、溪ぎわから差し出ている楓の枝が見え、ときには弾丸のように擦過して行く川烏の姿が見えた。
— 梶井基次郎 『温泉』 青空文庫
二人の日本女は、右手に見える白い大|拱門を入って行った。
— 宮本百合子 『スモーリヌイに翻る赤旗』 青空文庫
二十五日の夜、徹宵この敷石道の上をオートバイが疾走し篝火がたかれ、正面階段の柱の間には装弾した機関銃が赤きコサック兵に守られて砲口を拱門へ向けていた。
— 宮本百合子 『スモーリヌイに翻る赤旗』 青空文庫
天井は低く床は石畳で、扉のある部分は、壁が拱門形に切り抜かれている。
— 小栗虫太郎 『潜航艇「鷹の城」』 青空文庫
バルコンの手摺にからみついた赤い薔薇の花も、アラビア風の拱門から垂れた蔓草の白い花も、何となく見返らずにはゐられなかつた。
— 野上豐一郎 『大戰脱出記』 青空文庫
|下の城は殆んど全部淡紅色の沙岩で築かれ、正面の拱門も城壁も長い年月の間に石の表面はひどく磨滅してゐるけれども、大體の原形は保存されてあるので、その構成を想像で復原して見ることはさほど困難ではない。
— 野上豐一郎 『キフホイザー』 青空文庫
奧の方にはゴティク式の禮拜堂が遺つて居り、細部は痕迹を留めないまでに壞滅してゐるけれども、拱門と小窓を持つた塀と、長方形の窓の附いた高い本堂の外壁だけが保存され、拱門から附近の山山の樅の茂みが透いて眺められるのが美しかつた。
— 野上豐一郎 『キフホイザー』 青空文庫
たとえば、アラビヤの「ボッカ・キュイ宮」の壮麗な拱門のような、官能的な異様な美しさをもった穹窿形の洞道だった……。
— 久生十蘭 『地底獣国』 青空文庫