憂き身
うきみ
名詞
標準
wretched life
文例 · 用例
見てもまた逢ふ夜|稀なる夢の中にやがてまぎるるわが身ともがな 涙にむせ返って言う源氏の様子を見ると、さすがに宮も悲しくて、世語りに人やつたへん類ひなく憂き身をさめぬ夢になしても とお言いになった。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
堂摺連には学生が多かったから、今日は社会的に相当の地位を占めている実業家や政治家や学者のうちにも、かつてドウスルに憂き身をやつした経歴の所有者を少なからず見いだすであろう。
— 岡本綺堂 『寄席と芝居と』 青空文庫
以前は琉球|辺の無人島で信天翁と同棲した事もあつたが、その後細菌学の研究に憂き身をやつして、とうと博士の学位を取るまでになつた。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
徳利の形も千差萬別、裝飾からみても繪高麗風のもの、刷毛目、筋入り、織部、赤繪等々枚擧に遑がないといふのは此のことで、徳利に憂き身をやつしても一生暮せることは請合だ。
— 小野賢一郎 『やきもの讀本』 青空文庫
だから、容色を整へる為に憂き身をやつすのはどうも面白くない。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
華奢な街家を外に見て、地にへばりつく憂き身には、風も邪慳に吹きつける、雨もはげしく降りかかる。
— 與謝野寛 『妄動』 青空文庫
その為にあいつは女から女へ、転々と憂き身をやつしに行くのだ。
— 芥川龍之介 『好色』 青空文庫
私は毎年寒があけて一日ごとに日が長くなってくると、少年のころ小鳥の巣を捜すのに憂き身をやつしたのを思いだしてひとりでほほえむのである。
— 佐藤垢石 『探巣遅日』 青空文庫
作例 · 標準
例句