懐柔
かいじゅう
名詞動詞-サ変動詞-他動詞
標準
winning over
文例 · 用例
老婢はまた懐柔して防ぐに之くはないと気を更へたらしく、強ひて優しい声を投げた。
— 岡本かの子 『蔦の門』 青空文庫
忍従か、脱走か、正々堂々の戦闘か、あるいはまた、いつわりの妥協か、欺瞞か、懐柔か、to be, or not to be, どっちがいいのか、僕には、わからん。
— 太宰治 『新ハムレット』 青空文庫
」と懐柔の策に出た。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
懐柔せんとなるべし。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
ミュラーは独人で英国に帰化し、英人の勝れた分子は皆独人と血を分けた者に限り、英独人が世界でいっち豪いように説き、またしきりに古インドの文明を称揚して、インド人を英国に懐柔して大功あった。
— 馬に関する民俗と伝説 『十二支考』 青空文庫
犬より強い虎の字を書いて犬を制し得るという中国説が、本邦に入って、犬の名の虎に通う音の入った経文を唱えてその犬を懐柔する趣に変ったのだ。
— 犬に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
葉子の母が暴力では及ばないのを悟って、すかしつなだめつ、良人までを道具につかったり、木部の尊信する牧師を方便にしたりして、あらん限りの知力をしぼった懐柔策も、なんのかいもなく、冷静な思慮深い作戦計画を根気よく続ければ続けるほど、葉子は木部を後ろにかばいながら、健気にもか弱い女の手一つで戦った。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
若し我々が何千名と云う工場で、而も懐柔政策と弾圧とで金城鉄壁のような工場に、一人でもいゝ資本の搾取に反対して起とうとする労働者を友人とすることが出来たら、我々はもうそれだけで、この工場の半ばを獲得したも同様なのだ。
— 小林多喜二 『工場細胞』 青空文庫