腐臭
ふしゅう
名詞
標準
smell of something rotten
文例 · 用例
これを一に腐刑ともいうのは、その創が腐臭を放つがゆえだともいい、あるいは、腐木の実を生ぜざるがごとき男と成り果てるからだともいう。
— 中島敦 『李陵』 青空文庫
女のいつわりない女心は、ものわかりよさが腐臭を放っていることをよろこばないのである。
— 宮本百合子 『ものわかりよさ』 青空文庫
娼婦マヤの肉体と精神は、作者ギャンチヨンの青春の夢を宿して、あやしい燐光を放ち、人肉の市にくりひろげられる腐臭にみちた生活図も、清純な抒情と東洋的精神の調合によつて、言はば、真珠色の霧につゝまれてゐる。
— 岸田國士 『「娼婦マヤ」評』 青空文庫
昼のあひだの酷い暑気に蒸された川の面の臭ひに夜更けの冷気がしんしんと入れ混つて、たとへば葦間の腐臭を嗅ぐやうな不思議な匂を有つた靄が、風が無いのでヒソリともしない水面低く立ち迷つてゐた。
— 神西清 『水に沈むロメオとユリヤ』 青空文庫
そう思って、腐臭が立つのもかまわずに座敷つづきの雑倉の板の間に安置した。
— 久生十蘭 『重吉漂流紀聞』 青空文庫
われわれにくれるものといえば、腐敗した駱駝の乳、塩分のある水、腐臭をたてるぞっとするような肉だけだ。
— 久生十蘭 『海難記』 青空文庫
それゆえに私は腐臭を帯びた人間を価値高きものとして尊敬した。
— 和辻哲郎 『転向』 青空文庫
魚の腐臭はひどかったが、もっと重要なことに関心があったので、そんなささいなことは気にならなかった。
— DAGON 『ダゴン』 青空文庫