一夕
いっせき
名詞副詞
標準
one evening
文例 · 用例
但しそれとても一朝一夕に叶ふことでもありますまいが、そのためにはまづ、詩人が一体に固くなりすぎてゐることが、まづは打解されなくてはなりますまい。
— 中原中也 『近時詩壇寸感』 青空文庫
開化の段階の低いことが、一朝一夕にして高まることはなく、多くの個人の不撓の努力を要することは勿論でありますが、何れにしろ事態打開の先づ第一歩は、「若い身空でイヤな病気」と感ずる前に、「病気の軽重と処分の軽重」が判明に頭なり良心なりに来ること、それに違ひはないと思ふのであります。
— 中原中也 『我邦感傷主義寸感』 青空文庫
現在の系統は一朝一夕に発達したものではなく、ガリレー以来|漸を追うて発達して来たもので、種々な観念もだんだんに変遷し拡張されて来たものである。
— 寺田寅彦 『物質とエネルギー』 青空文庫
熱で渇いた口に薫りの高い振出しをのませ、腹のへったものの前に気の利いた膳をすえ、仕事に疲れたものに一夕の軽妙なレビューを見せてこそ利き目はあるであろう。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
さはいへ東京はその地勢河を帯にして海を枕せる都なれば、潮のさしひきするところ、船の上り下りするところ、一条二条のことならずして極めて広大繁多なれば、詳しく記し尽さんことは一人の力一枝の筆もて一朝一夕に能くしがたし。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
むかしはそれが密林だったので何事も少かったのですが、十余年|前に悉く伐採したため禿げた大野になってしまって、一夕立しても相当に渓川が怒るのでして、既に当寺の仏殿は最初の洪水の時、流下して来た巨材の衝突によって一角が壊れたため遂に破壊してしまったのです。
— 幸田露伴 『観画談』 青空文庫
たとえばまた、銀座松屋の南入り口をはいるといつでも感じられるある不思議なにおいは、どういうものか先年アンナ・パヴロワの舞踊を見に行ったその一夕の帝劇の観客席の一隅に自分の追想を誘うのである。
— 寺田寅彦 『試験管』 青空文庫
歌舞伎座の一夕の観覧記がつい不平のノートのようになってしまったようであるが、それならちっともおもしろくなかったのかと聞かれればやはりおもしろかったと答えるのである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
作例 · 標準
彼の成功は、決して一夕にして成し遂げられたものではない。
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一夕の語らいで、お互いの誤解が解け、二人の距離はぐっと縮まった。
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その事件の真相は、一夕では到底解明できないだろう。
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