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惻隠

そくいん
名詞
1
標準
compassion
文例 · 用例
」 おずおずその袂を曳きて、惻隠の情を動かさむとせり。
泉鏡花 取舵 青空文庫
「コラッ、貴様ッ、ろくろく働きもせぬくせに、生血のような水を唯飲みしようとは、怪しからん奴だ」と呶鳴り付けたが、考えてみればあれも人の子、咽の渇くのは同じだろうと惻隠の心も起り、「皆飲むなよ」と、長い竹筒の水を渡してやれば、先生竹筒に口を当てるが早いか、逆様にして皆ゴボゴボと飲んでしまった。
押川春浪 本州横断 癇癪徒歩旅行 青空文庫
古今東西を通じて、かかるみじめなる経験に逢いし武芸者は、おそらくは一人もあるまじと思えば、なおのこと悲しく相成候て、なにしろあれは三百円、などと低俗の老いの愚痴もつい出て、落花繽紛たる暗闇の底をひとり這い廻る光景に接しては、わが敵手もさすがに惻隠の心を起し給いし様子に御座候。
太宰治 花吹雪 青空文庫
惻隠の情もじかに胸に落ちこむのだ。
織田作之助 馬地獄 青空文庫
けっしてそれはあり余る金ではなかったが、惻隠の情はまだ温く尾をひいていたのだ。
織田作之助 馬地獄 青空文庫
惻隠の心は、どんな人にもあるというじゃありませんか。
――新曲聊斎志異―― 竹青 青空文庫
ペッチグリウ博士続けていわく、予かつて高等哺乳動物の心室と心耳の動作を精測したき事あって一疋の猴の躯を嚢に入れてひっ掻かるるを防ぎ、これにクロロホルムを施すに猴あたかも予の目的を洞察せるごとく、悲しみ気遣いながら抵抗せず、予の為す任に順いしは転た予をして惻隠の情に堪えざらしめた。
猴に関する伝説 十二支考 青空文庫
処へ二児の養育者ヴァルミキ仙来って、惻隠の情に堪えず、呪言を唱えてことごとく蘇生せしむ。
猴に関する伝説 十二支考 青空文庫
作例 · 標準
孟子は、他人の不幸を見過ごせない「惻隠の心」こそが仁の始まりであると説いた。
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泥まみれで震えている捨て猫を見て、彼女の胸の内に惻隠の情が込み上げてきた。
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厳しい判決を下しながらも、裁判官の眼差しにはどこか惻隠の響きが感じられた。
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