郷党
きょうとう
名詞
標準
people from one's hometown
文例 · 用例
大恩のある簡先生の名誉のため、名望高い一門のため、郷党のため児孫のため、わしは断じて折れてはいかん。
— 宮沢賢治 『疑獄元兇』 青空文庫
それで学校においても郷党にあっても、とくに人から注目せられる少年ではなかった。
— 国木田独歩 『非凡なる凡人』 青空文庫
その時かれは二十二歳であったが、郷党みな彼が前途の成功を卜してその門出を祝した。
— 国木田独歩 『河霧』 青空文庫
むずかしく言えば一種霊活な批評眼を備えていた人、ありていに言えば天稟の直覚力が鋭利である上に、郷党が不思議がればいよいよ自分もよけいに人の気質、人の運命などに注意して見るようになり、それがおもしろくなり、自慢になり、ついに熟練になったのである。
— 国木田独歩 『河霧』 青空文庫
田舎に於ては、郷党のすべてが縁者であり、系図の由緒ある血をひいてゐる。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
そこではだれもが家族であつて、歴史の古き、伝統する、因襲のつながる「家」の中で、郷党のあらゆる男女が、祖先の幽霊と共に生活してゐる。
— 萩原朔太郎 『散文詩集『田舎の時計 他十二篇』』 青空文庫
父は大家の若旦那に生れついて、家の跡取りとなり、何の苦労もないうちに、郷党の銀行にただ名前を貸しといただけで、その銀行の破綻の責を一家に引受け、預金者に対して蔵屋敷まで投げ出したが、郷党の同情が集まり、それほどまでにしなくともということになり、息子の医者の代にはほぼ家運を挽回するようになった。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫
晩年、父の技倆としては見事過ぎるほどの橋を奔走して自町のために造り、その橋によってせめて家名を郷党に刻もうとしたのも、この悔を薄める手段に外ならなかった。
— 岡本かの子 『雛妓』 青空文庫