境涯
きょうがい
名詞
標準
circumstances
文例 · 用例
さても私の境涯の、その最初の門出は「門司の旅館で船を待つ間、船の汽笛が鳴るたびに火のつくやうに泣き出」したのであり、「その日はそれに、吹く降るの日で」あつたのである。
— ――世の母びと達に捧ぐ―― 『一つの境涯』 青空文庫
青年は、あるいは「釜中の鯉魚」と答え、あるいは「網を透る金鱗」と答えはするが、ついに鯉魚あるを知らず、おのれに身あるを知らず、眼前に大衆あるを知らずして、問いに対する答えの速かなること、応変自由なること、鐘の撞木に鳴るごとく、木霊の音を返すがごとく、活溌、轆地の境涯を捉えました。
— 岡本かの子 『鯉魚』 青空文庫
僕はただ理窟なしに民子は如何な境涯に入ろうとも、僕を思っている心は決して変らぬものと信じている。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
それと同じような意味を父の敬蔵は老荘の思想から採って、「渾沌未分の境涯」だといつも小初に説明していた。
— 岡本かの子 『渾沌未分』 青空文庫
歩ける嬉しさ、坐れる嬉しさ、自然に接しられる嬉しさは、そのいずれも叶わぬ不自由な境涯に落ちて一そうはっきりと私に分るようになった。
— 黒島傳治 『海賊と遍路』 青空文庫
私のそれからの境涯に於いても、いつでもこの女の不意に発揮する強力なる残忍性のために私は、ずたずたに切られどおしでございました。
— 太宰治 『男女同権』 青空文庫
そして渡瀬さんが帰ってから、その一伍一什を母に話して聞かせようとして、ふと母の境涯を考えると、とんでもないことをいいかけたと思って、そのまま口には出さないでしまったのだった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
己れっちらの境涯では、四辻に突っ立って、警部が来ると手を挙げたり、娘が通ると尻を横目で睨んだりして、一日三界お目出度い顔をしてござる様な、そんな呑気な真似は出来ません。
— 有島武郎 『かんかん虫』 青空文庫
作例 · 標準
彼はしばしば、自身の困難な境涯と、そこからどれだけ進歩したかを振り返った。
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その小説は、主人公の過酷な境涯を鮮やかに描写していた。
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彼女の境涯を理解すれば、彼女の行動に同情しやすくなるだろう。
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「大変な状況だけど、きっと乗り越えられるわ」と、友人は彼女の境涯を慮って言った。
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