舳
じく
名詞
標準
bow (of a ship)
文例 · 用例
宿の二階から毎日見下ろして御なじみの蚕種検査の先生達は舳の方の炊事場の横へ陣どって大将らしき鬚の白いのが法帖様のものを広げて一行と話している。
— 寺田寅彦 『高知がえり』 青空文庫
かまはないから、おれの舟の舳を、お前の舟の艫にゆはへ附けておくれ。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
舳に立つて居る五十近い男が今呼びかけたのは私ではなくて、さつきから私の繪を見て居た中學生であつた。
— 寺田寅彦 『寫生紀行』 青空文庫
三四丁のぼると、すきを伺って、相手の頸もとへひらりと飛びこんでくるシャモのように、舳の向きをかえ、矢のように流れ下りながら、こちらへ泳ぎついてきた。
— 黒島伝治 『国境』 青空文庫
舳軽く浮かべば舟底たたく水音、あわれ何をか囁く。
— 国木田独歩 『源おじ』 青空文庫
開くでもなしに、弁当を熟々視ると、彼処の、あの上包に描いた、ばら/\蘆に澪標、小舟の舳にかんてらを灯して、頬被したお爺の漁る状を、ぼやりと一|絵具淡く刷いて描いたのが、其のまゝ窓の外の景色に見える。
— 泉鏡太郎 『銀鼎』 青空文庫
幅は然のみ濶からぬ川ながら、船の往来のいと多くして、前船後船|舳艫相|啣み船舷相摩するばかりなるは、川筋繁華の地に当りて加之遠く牛込の揚場まで船を通ずべきを以てなり。
— 幸田露伴 『水の東京』 青空文庫
終局の場面でも、人生の航路に波が高くて、舳部に砕ける潮の飛沫の中にすべての未来がフェードアウトする。
— 寺田寅彦 『映画雑感(2)』 青空文庫
作例 · 標準
船の舳に立って海風を浴びると、まるで自分が海を支配しているような気分だ。
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波を切り裂いて進む舳の動きを見つめながら、目的地への到着を待った。
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舳に描かれた鮮やかな装飾が、この船の歴史を物語っている。
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