昔時
せきじ
名詞副詞
標準
old times
文例 · 用例
汽車の上り下りには赤帽が世話をする、車中では給仕が世話をする、食堂車がある、寝台車がある、宿屋の手代は停車場に出迎えて居る、と言ったような時世になったのですから、今の中等人士は昔時の御大名同様に人の手から手へ渡って行って、ひどく大切にされまするので、山も坂も有ったものじゃあ有りません。
— 幸田露伴 『旅行の今昔』 青空文庫
よしやそれほど簡単な場合でなくとも、有限な個体の間に有限な関係があるだけの宇宙ならば、万象はいつかは昔時の状態そのままに復帰して、少なくも吾人のいわゆる物理的世界が若返る事は可能である。
— 寺田寅彦 『時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ』 青空文庫
先刻通ったあの金性水の所には、昔時四斗|樽程の大蛇が棲んでおって、麓の村へ出てはしばしば人畜を害したので、須藤権守という豪傑が退治したという口碑が伝わっている。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
あらゆる遊戲を賤辱したる昔時の日本人の生活を想へ。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
其の上巳南楼に登るの詩に曰く、昔時 喜んで酒を飲み、白を挙げて 深きを辞せざりき。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
昔時はそれでも雁坂越と云って、たまにはその山を越して武蔵へ通った人もあるので、今でも怪しい地図に道路があるように書いてあるのもある。
— 幸田露伴 『雁坂越』 青空文庫
今の今まで太郎坊を手放さずおったのも思えば可笑しい、その猪口を落して摧いてそれから種々と昔時のことを繰返して考え出したのもいよいよ可笑しい。
— 幸田露伴 『太郎坊』 青空文庫
昔時を繰返して新しく言葉を費したって何になろうか、ハハハハ、笑ってしまうに越したことは無い。
— 幸田露伴 『太郎坊』 青空文庫
作例 · 標準
昔時のこの村は、今のような静けさはなく、宿場町として非常に賑わっていた。
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「昔時の面影を残す古い建物が、開発によって取り壊されるのは寂しいね」と老人が呟いた。
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歴史小説を読みながら、昔時の人々の暮らしや価値観を追体験する。
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