九死
きゅうし
名詞
標準
narrowly averting death
文例 · 用例
もともとこの狸は、何の罪とがも無く、山でのんびり遊んでゐたのを、爺さんに捕へられ、さうして狸汁にされるといふ絶望的な運命に到達し、それでも何とかして一條の血路を切りひらきたく、もがき苦しみ、窮餘の策として婆さんを欺き、九死に一生を得たのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
狸汁の運命から逃れて、やれ嬉しやと思ふ間もなく、ボウボウ山で意味も無い大火傷をして九死に一生を得、這ふやうにしてどうやらわが巣にたどりつき、口をゆがめて呻吟してゐると、こんどはその大火傷に唐辛子をべたべた塗られ、苦痛のあまり失神し、さて、それからいよいよ泥舟に乘せられ、河口湖底に沈むのである。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
鼠色の凶兆はあった、それから間もなく、疾風豪雨になって、一行は、九死一生の惨めな目に遇わされた。
— 小島烏水 『白峰山脈縦断記』 青空文庫
『けれど、私は常に確信して居ます、天には一種の不思議なる力があつて、身も心も美くしき人は、屡々九死の塲合に瀕しても、意外の救助を得る事のあるものです。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
然れど、大佐よ、吾等は今の塲合に於て、九死に一生をも得難き事をば疾くに覺悟せり。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
今、端艇を出して、吾等の九死一生の難を救つて呉れたのは、疑もない、先刻の白色巡洋艦である。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
好奇心から砂すべりの谷へ顛落して、九死一生になつた事。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
内に寝ていてさえ空腹うてならぬ処へなまなか遠路を歩行いたりゃ、腰は疼む、呼吸は切れる、腹は空る、精は尽きる、な、お前様、ほんにほんに九死一生で戻りやしたよ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
作例 · 標準
山での遭難事故で、彼は九死に一生を得た。
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あの列車事故は、九死の状況から奇跡的に生還した人がいる。
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九死を覚悟した瞬間、救助隊の声が聞こえた。
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何度も九死を経験してきたベテランの登山家だ。
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