店子
たなこ異読 たなご
名詞
標準
tenant (esp. in contrast to a landlord)
文例 · 用例
「それでも隣の家の井戸からは、フンダンに水が出るが」 と云ふと、「わしは、その隣の井戸を覗いた訳ではない」 酒屋の景品券じやあるまいし、この因業家主は店子を「焙り出す」心算でゐるのだ。
— 葉山嘉樹 『井戸の底に埃の溜つた話』 青空文庫
要するに、従来のいわゆる統計物理学は物理学の一方の庇を借りた寄生物であったのであるが、今ではこの店子に主家を明け渡す時節が到来しつつあるのではないか。
— 寺田寅彦 『量的と質的と統計的と』 青空文庫
僕にとっては、その当時こそ何かと不満もあったのであるが、いまになって考えてみると、あの技師にしろ、また水泳選手にしろ、よい部類の店子であったのである。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
俗にいう店子運がよかったわけだ。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
それが、いまの三代目の店子のために、すっかりマイナスにされてしまった。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
僕は、店子の身元についてこれまで、あまり深い詮索をしなかった。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
僕の以前の店子であったビイル会社の技師の白い頭髪を短く角刈にした老婆の顔にそっくりであったのである。
— 太宰治 『彼は昔の彼ならず』 青空文庫
そこには家主の赤い煉瓦塀があって此方との境をしており、その上に一本の煙突があって平生|店子を督視しているように立っているが、どうしたことかそれが見えない。
— 田中貢太郎 『変災序記』 青空文庫