立女形
たておやま
名詞
標準
leading female role actor (in kabuki)
文例 · 用例
あの、底知れずの水に浮いた御幣は、やがて壇に登るべき立女形に対して目触りだ、と逸早く取退けさせ、樹立さしいでて蔭ある水に、例の鷁首の船を泛べて、半ば紫の幕を絞った裡には、鎌倉殿をはじめ、客分として、県の顕官、勲位の人々が、杯を置いて籠った。
— 泉鏡花 『伯爵の釵』 青空文庫
はじめて、白玉のごとき姿を顕す……一|人の立女形、撫肩しなりと脛をしめつつ褄を取った状に、内端に可愛らしい足を運んで出た。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
……」 黒縮緬の雪女は、さすが一座に立女形の見識を取ったか、島田の一さえ、端然と済まして口を利こうとしないので、美しい女はまた青月代に、そう訊いた。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
其の所為で、恐ろしい近視眼、これは立女形の美を傷つけて済みません。
— 泉鏡花 『いろ扱ひ』 青空文庫
これは、さもありそうな事で、一座の立女形たるべき娘さえ、十五十六ではない、二十を三つ四つも越しているのに。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
(泣くな、わい等、)と喚く――君の親方が立女形で満場水を打ったよう、千百の見物が、目も口も頭も肩も、幅の広いただ一|人の形になって、啜泣きの声ばかり、誰が持った手巾も、夜会草の花を昼間見るように、ぐっしょり萎んで、火影の映るのが血を絞るような処だっけ――(芝居を見て泣く奴があるものかい、や、怪体な!
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫
こちの人は、京町の交番に新任のお巡査さん――もっとも、角海老とかのお職が命まで打込んで、上り藤の金紋のついた手車で、楽屋入をさせたという、新派の立女形、二枚目を兼ねた藤沢浅次郎に、よく肖ていたのだそうである。
— 泉鏡花 『開扉一妖帖』 青空文庫
……路之助の……」 立女形、あの花形に、蝶蜂の群衆った中には交らないで、ひとり、束髪の水際立った、この、かげろうの姿ばかりは、独り寝すると思ったのに―― 請う、自惚にも、出過ぎるにも、聴くことを許されよ。
— 泉鏡花 『白花の朝顔』 青空文庫
作例 · 標準
その舞台では、「立女形」として名高い俳優が、儚げな姫君を演じた。
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観客は、彼の「立女形」の美しさに息をのんだ。
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「立女形」の繊細な所作は、長年の修練の賜物だ。
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