濁り水
にごりみず
名詞
標準
muddy water
文例 · 用例
マルシャル橋や王宮橋から毎日のように眺め見下ろしたスプレーの濁り水に浮ぶ波紋を後年映画「ベルリン」の一場面で見せられたときには、往年の記憶が実になまなましく甦って来るのを感じたのであった。
— 寺田寅彦 『ベルリン大学(1909-1910)』 青空文庫
河身を見れば濁水|巨巌に咆哮して正しく天に漲ぎるの有様、方等般若の滝もあったものにあらず、濁り水が汚なく絶壁を落つるに過ぎない。
— 井沢衣水 『本州横断 痛快徒歩旅行』 青空文庫
大きな鯉、緋鯉がたくさん飼ってあって、このごろの五月雨に増した濁り水に、おとなしく泳いでいると思うとおりおりすさまじい音を立ててはね上がる。
— 寺田寅彦 『竜舌蘭』 青空文庫
水はどろりとして薄黒く、浮き苔のヤリが流れる方向もなく点々と青みが散らばってちょうどたまり水のような濁り水の上を、元気なくゆらりゆらりと漕いでゆくのである。
— 伊藤左千夫 『水籠』 青空文庫
高架鉄道の堤とそちこちの人家ばかりとが水の中に取り残され、そのすき間というすき間には蟻の穴ほどな余地もなくどっしりと濁り水が押し詰まっている。
— 伊藤左千夫 『水籠』 青空文庫
毒々しい濁り水のために、人事のすべてを閉塞され、何一つすることもできずむなしく日を送っているは、手足も動かぬ病人がただ息の通うばかりという状態である。
— 伊藤左千夫 『水籠』 青空文庫
濁り水の動く浪畔にランプの影がキラキラする。
— 伊藤左千夫 『水籠』 青空文庫
この危っかしさを孕んでいるのが梅雨の雨の特徴で、芭蕉のさみだれを集めて早し最上川という句を読んで、岸を浸さんばかりの濁り水が、矢のように早く走っているのを想像して、眼が眩いそうになるまでに水の力に驚くのも、この危さの気持を感ずるからである。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
作例 · 標準
洪水の後、街中が濁り水で覆われた。
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工事現場から流れてきた濁り水が、川を汚染している。
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彼は濁り水の中から、わずかな希望を見つけ出そうとした。
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