赧顔
たんがん
名詞
標準
blushing (with shyness)
文例 · 用例
軈て父は廻状の様なものを書いて、下男に持たしてやると、役場からは禿頭の村長と睡さうな収入役、学校の太田先生も、赧顔の富樫巡査も、皆莞爾して遣つて来て、珍らしい雁の御馳走で、奥座敷の障子を開け放ち、酔興にも雪見の酒宴が始まつた。
— 石川啄木 『刑余の叔父』 青空文庫
彼はこの二三日炎天の乾干みたいになって街中を歩き飛ばしていたが、何処でどう捜し求めて来たのか『カルバス』の行商をやっていたが、その売り上げの全部はこの赧顔の強慾な酒場ではたいてしまうのだった。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫
純一は附いて上がりながら、店を横目で見ると、帳場の格子の背後には、二十ばかりの色の蒼い五分刈頭の男がすわっていて、勝手に続いているらしい三尺の口に立っている赧顔の大女と話をしている。
— 森鴎外 『青年』 青空文庫
梶はホテルの者だろうと思って黙っていると、肥満した赧顔の男が一人勝手に這入って来た。
— 横光利一 『罌粟の中』 青空文庫
「どうしてでありましょうか」 とヨハンはでっぷりした腹部を揺りつつ、赧顔をなおからからと笑わせて一人先に橋を渡っていくのだった。
— 横光利一 『罌粟の中』 青空文庫
黒い衣をたくしあげ、白い着物に赧顔を光らせた四十五六の髪の薄い凡下な骨相の男が、一寸頭を左に曲げ、言葉と言葉との間をわざと区切らせ、唇を一寸とがらせ、坊主よりも講釈師と云う風体で何か喋って居る。
— 一九二一年(大正十年) 『日記』 青空文庫
自分の想像では、どちらかと云うと、赧顔の、強い、明快な平民的な男だろうと思って居た。
— 一九二二年(大正十一年) 『日記』 青空文庫
こういう場合に彼女の脳裡へ、幻影のように浮かんで来るのは、大森林、大渓谷、大きな屋敷、大傾斜面、五百頭千頭もの放馬の群、それを乗り廻し追い廻し、飼養している無数の人、そうしてあたかも酒顛童子のような、長髪赧顔の怪異の老人――等々々のそれであった。
— 国枝史郎 『剣侠』 青空文庫
作例 · 標準
憧れの先輩に声をかけられ、彼女は赧顔して視線をそらしてしまった。
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大勢の前で言い間違いをしてしまい、あまりの恥ずかしさに赧顔が隠せない。
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告白の返事を聞く時の彼の赧顔を見て、彼女は確信を得た。
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