謹厳
きんげん
形容動詞名詞
標準
stern
文例 · 用例
快活、憂鬱、謹厳、戯謔さまざまの心持が簡単な線の配合によって一幅の絵の中に自由に現われていると思うのである。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
近頃某氏のために揮毫した野菜類の画帖を見ると、それには従来の絵に見るような奔放なところは少しもなくて全部が大人しい謹厳な描き方で一貫している、そして線描の落着いたしかも敏感な鋭さと没骨描法の豊潤な情熱的な温かみとが巧みに織り成されて、ここにも一種の美しい交響楽が出来ている。
— 寺田寅彦 『津田青楓君の画と南画の芸術的価値』 青空文庫
私は、家へ来たある謹厳な客が、膝へあがって来た仔猫の耳を、話をしながら、しきりに抓っていた光景を忘れることができない。
— 梶井基次郎 『愛撫』 青空文庫
数※社参する中に、修験者らから神怪|幻詭の偉い談などを聞かされて、身に浸みたのであろう、長ずるに及んで何不自由なき大名の身でありながら、葷腥を遠ざけて滋味を食わず、身を持する謹厳で、超人間の境界を得たい望に現世の欲楽を取ることを敢てしなかった。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫
あの頃の自分は真面目なもので、酒は飲めても飲まぬように、謹厳正直、いやはや四角張た男であった。
— 国木田独歩 『酒中日記』 青空文庫
禅僧の謹厳な様子に、感心すると思いの外、老婆は大変怒りまして「思いの外俗物の僧を永らく優待していた。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
真面目に忠告する謹厳さを欠いて不断のなれなれしい気持ちでからかって見たりすることが多いです。
— 岡本かの子 『仏教人生読本』 青空文庫
その後九年を経て病院のかのことありしまで、高峰はかの婦人のことにつきて、予にすら一言をも語らざりしかど、年齢においても、地位においても、高峰は室あらざるべからざる身なるにもかかわらず、家を納むる夫人なく、しかも渠は学生たりし時代より品行いっそう謹厳にてありしなり。
— 泉鏡花 『外科室』 青空文庫