謹直
きんちょく
形容動詞名詞
標準
conscientious
文例 · 用例
父が謹直な技術家で、而も着實周到な處世家であるのと大體幸運に惠まれた家であるために、過去の家庭生活は極めて平穩無事で、多くの作家達が持つやうな世間的、人間的辛酸は殆ど知らなかつた。
— 南部修太郎 『自分のこと』 青空文庫
それも――井深君は殊の外内気な性向で、かつ多分それ故に謹直で、ついぞ遊びもしないし、酒も飲まないし、女の噂さえも滅多に口にすることのない人間なのだが、どう云う事のはずみか井深君が屡々遊びに行く友だちの妹で、やっと十八位にしかならない少女に生まれてない恋慕の情を覚えそめていたのである。
— 渡辺温 『少女』 青空文庫
風貌も、その時はちゃんとネクタイをしておられたし、飄々などという仙人じみた印象は微塵も無く、お顔は黒く骨張って謹直な感じで、鉄縁の眼鏡の奥のお眼は油断なく四方を睥睨し、なつかしいどころか、私にはどの先生よりも手剛いお方のように見受けられた。
— 太宰治 『惜別』 青空文庫
定まって晩酌を取るというのでもなく、もとより謹直倹約の主人であり、自分も夫に酒を飲まれるようなことは嫌いなのではあるが、それでも少し飲むと賑やかに機嫌好くなって、罪も無く興じる主人である。
— 幸田露伴 『鵞鳥』 青空文庫
撼む可し善良謹直の青年の一派に、特に自ら小にするもの多きを。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
髪をキッと分けて、角ばった頤の、眼鏡の奥に謹直らしい眼を光らしている。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
そうして、謹直な叩頭。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
」と謹直なA君が今度ばかりは揶揄気味にきめつけた。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫