釘
くぎ異読 クギ
名詞頻度ランク #13080 · 青空 2013 例
標準
nail
文例 · 用例
情慾萩原朔太郎手に釘うて、足に釘うて、十字にはりつけ、邪淫のいましめ、齒がみをなして我こたふ。
— 萩原朔太郎 『情慾』 青空文庫
その後四つ五つとなると、私は大概の玩具よりも遥かに釘だの戸車だの卦算だのを愛するやうになるのだが、それは何かうまく云へないまでも大変我乍ら好もしいことのやうに思はれてならない。
— ――世の母びと達に捧ぐ―― 『一つの境涯』 青空文庫
折釘に烏帽子かけたり宵の春春の夜に尊き御所を守る身かな春雨や同車の君がさざめ言ほととぎす平安朝を筋かひにさしぬきを足で脱ぐ夜や朧月 引例を見ても解るように、特に春の句においてそれが多いのは、平安朝の優美でエロチックな文化や風俗やが、春宵の悩ましい主観において、特にイメージを強く与えるためなのだろう。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
太郎坊へ着いて見ると、戸は厳重に釘づけにされ、その上に材木を筋交えに抑えにして、鋼線で結びつけてあるが、寂ッそりとして、人の気はなく、案内者の咳払いが、沈んだ空気を乱しただけだ。
— 小島烏水 『雪中富士登山記』 青空文庫
そのくせ、頑丈に釘づけしてあった。
— 葉山嘉樹 『セメント樽の中の手紙』 青空文庫
「思わせ振りしやがらあ、釘づけなんぞにしやがって」 彼は石の上へ箱を打っ付けた。
— 葉山嘉樹 『セメント樽の中の手紙』 青空文庫
私の左の足は、踝の処で、釘の抜けた蝶番見たいになっていたのだ。
— 葉山嘉樹 『浚渫船』 青空文庫
自分の場合では、掛けた札がちゃんと後ろの板に密着しないと気持が悪いから掛けたあとでぱちんと札を押しつける、それを押しつけるには釘に近い上の方を押すのが一番機械的に有効だからそうするらしい、勿論無意識にそうするのである。
— 寺田寅彦 『雑記帳より(2)』 青空文庫