鉄釘
てつくぎ
名詞
標準
文例 · 用例
が、何の禁厭か知れぬまで、鉄釘、鉄火箸、錆刀や、破鍋の尻まで持込むわ。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
その、くっきり曲った鉄釘が、少しずつ、少しずつ、まっすぐに成りかけて、借金もそろそろ減って来たころ、どうにでもなれ!
— 太宰治 『八十八夜』 青空文庫
ふたをあけて見ると腐ったような水の底に鉄釘の曲がったのや折れたのやそのほかいろいろの鉄くずがいっぱいはいっていて、それが、水酸化鉄であろうか、ふわふわした黄赤色の泥のようなものにおおわれていた。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
東 年寄の冷水西 豆腐に鎹 老人のなまじひに壮者を学ぶを危めるは東の諺、鉄釘至剛なるも至軟の物を如何ともする能はざるを歎ぜるは西の語。
— 幸田露伴 『東西伊呂波短歌評釈』 青空文庫
お半のあたまを鉄槌でがんとくらわしたばかりで無く、長い鉄釘を用意して行って、頭へ深く打ち込んだのです。
— 幽霊の観世物 『半七捕物帳』 青空文庫
女もしまいに焦れて来て、鉄釘流の附文などをするようになる。
— 冬の金魚 『半七捕物帳』 青空文庫
四、五人の小僧が店の先で鉄釘の荷を解いていた。
— 勘平の死 『半七捕物帳』 青空文庫
グベルナチス伯曰く、古ローマ人の迷信に牝鶏が卵を伏せ居る最中に雷鳴すれば、その卵敗れて孵らずと、プリニウス説にこれを防ぐには卵の下草の下に鉄釘一本、または犁のサキで済い揚げた土を置けば敗れずと、コルメラは月桂の小枝とニンニクの根と鉄釘を置けと言った。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫