釘抜き
くぎぬき
名詞
標準
pincers
文例 · 用例
誰か他の奴を選ンでやっておくんなせえまし」 大瀬の半五郎が次郎長に、 「親分」 「何ンだ、半五郎」 「親分が石松に使えに行って来いと仰しゃるから、俺ァ隣へ釘抜きでも借りに行くのかと思って居たら、金毘羅様迄行くんじゃ石松が可哀そうだ。
— 山中貞雄 『森の石松』 青空文庫
殻を押えて小さいフォークで身を引出すのだが殻を挟む為に物々しい釘抜きのようなものも持ち出して来る。
— 岡本かの子 『食魔に贈る』 青空文庫
その足さきはまるで釘抜きのように尖り黒い診察鞄もけむりのように消えたのです。
— 宮沢賢治 『ひのきとひなげし』 青空文庫
その時になつて、抜くのは痛いから嫌だと云へば、歯医者が笑ふだらうし、と云つてあのエンマ様の釘抜きのやうなもので、自分は痛くないのだから平気だといふやうに白々しい顔付で、ギウ/\引ツ張られたら、とても堪らない――。
— 牧野信一 『美智子と歯痛』 青空文庫
それから何日か経ちますと東京から大きなお菓子の箱みたようなものが、お母様のお名前で送って来ましたから、お父様が釘抜きと金槌で開いて御覧になるとどうでしょう。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
ミリミリミリと釘抜きでな。
— 国枝史郎 『剣侠受難』 青空文庫
カアネギイは釘抜きで鼻先きを捻ぢ曲げられたやうな顔をして苦笑ひをした。
— 大正七(一九一八)年 『茶話』 青空文庫
」こう怒鳴ると、脂っぽい針松の木椅子を蹴とばして、彼は鉄砲玉のように吹っ飛んで行く若者を、かっきりと釘抜きみたいに抱き留めてしまった。
— 里村欣三 『放浪の宿』 青空文庫