拐引
かいいん
名詞動詞-サ変
標準
carrying off by deception
文例 · 用例
ひとの娘を無得心に連れて来るというのは拐引同様の仕方であるから、内密にその仔細を明かしておとなしく連れてくるがよかろうと云う温和な意見もあった。
— 奥女中 『半七捕物帳』 青空文庫
結局、後の方の説が勢力を占めて、その役目を云いつけられた武士どもは、身分柄にもあるまじき拐引同様の所行をくり返すことになったのである。
— 奥女中 『半七捕物帳』 青空文庫
もうこうなりゃあ出るところへ出て、拐引の訴えをするから、そう思うがいい」「どうとも勝手にするがいいのさ。
— 唐人飴 『半七捕物帳』 青空文庫
初めからおていを狙っていたものならば格別、万一この混雑にまぎれて衣裳でも何でも手あたり次第に盗み出すつもりで、庭口からひそかに忍び込んだ人間が、偶然そこにいる美しい少女を見つけて、ふとした出来心で彼女を拐引して行ったものとすると、その探索は面倒である。
— 少年少女の死 『半七捕物帳』 青空文庫
昨夜|劫盗に逢いましたが、そのうちの二人は僧で、わたくしを拐引してここへ運んで参ったのでござります」 愁いを含んで訴える姿は、又なく美しく見えたので、王は悦んで自分の馬へ一緒に乗せて帰った。
— 酉陽雑爼(唐) 『中国怪奇小説集』 青空文庫
おさんはことし十六で、色の小白い、いわゆる渋皮の剥けた娘であるから、昼間から付け狙っていて拐引したのであろうという説が多数を占めたが、しょせんは一種の想像にとどまって、その真相はわからなかった。
— 青山の仇討 『半七捕物帳』 青空文庫
抱えの遊女や芸妓を連れ出した場合、悪く間違えば拐引ということになる。
— 青山の仇討 『半七捕物帳』 青空文庫
拐引で訴えれば、一文もいらずに取り戻すことが出来るかも知れないが、そんなことに暇取っているうちに、お種さんのからだに何かの間違いがあっては取り返しが付かない。
— 青山の仇討 『半七捕物帳』 青空文庫