巧遅
こうち
名詞
標準
elaborate but slow execution
文例 · 用例
然るに新聞紙の材料は巧遅なるよりは拙速を重んじ、堂々たる大論文よりは新鮮なる零細の記事、深く考慮すべき含蓄ある説明よりは手取早く呑込む事の出来る記実、噛占めて益々味の出るものよりは舌の先きで甞めて直ぐ賞翫されるものが読者に受ける。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
やがてまた例の木の丸太を渡るのじゃが、さっきもいった通り草のなかに横倒れになっている木地がこうちょうど鱗のようで、譬にもよくいうが松の木は蝮に似ているで。
— 泉鏡花 『高野聖』 青空文庫
ははは、別嬪さんの、お前さん、手ばかりが、あすこで、真白にこうちらつく工合は、何の事あねえ、さしがねで蝶々を使うか、活動写真の花火と云うもんだ、見物だね。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
いずれこうちょいちょいこのお二階へいらっしゃる方があるッてのは、そりゃ分っていますけれど、どうもそのお嬢さんの御身分が分りませんが、ええ、おかみさん。
— 泉鏡花 『式部小路』 青空文庫
「お内儀さん、こうちつとでもよくねえ錢へえつちや末始終はどうしてもえゝこたありあんすめえね」勘次は更にまた酷く懸念らしい容子をして突然に聞いた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
こうちゃんとした自分の家があって、ちゃんとした生活の土台があって、ちゃんとした目論見を立てて、その目論見の通りに生きて行けないもんかしら。
— ――生きる為に―― 『山谿に生くる人々』 青空文庫
鎖帷子、ほうら鎖頭巾、どうじゃ、こうちゃんとした扮をするといい男だろうがの、今に喧嘩でもしてみろ、三人や五人ならおくれはとらぬぞ。
— 直木三十五 『鍵屋の辻』 青空文庫
大体そんなところですが、別所君はつまり、人との応対に卑屈なほど従順であり、また遅刻をきらって平気で欠勤するほど純真であり、そして無数の不平不満を胸中に秘めてる男だったと、こうちぐはぐな浅薄な印象きりで、私にははっきりしたところは分りませんね。
— 豊島与志雄 『椿の花の赤』 青空文庫
作例 · 標準
「提出された作品は、細部まで作り込まれているが、締め切りを大幅に過ぎており、まさに巧遅だ」
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拙速を尊ぶビジネスの世界では、いくら完成度が高くても、巧遅に陥ることは致命的なミスとなる。
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「君の仕事は丁寧だが、これでは巧遅の誹りを免れない。もう少しスピード感を意識してくれ」
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