腐り
くさり
名詞頻度ランク #26460 · 青空 76 例
標準
rottenness
文例 · 用例
きょうこの部屋で海賊の打ち合せをしようと思ってね」 私は馬場の興奮に釣られてうろうろしはじめ、蒲団を蹴って起きあがり、馬場とふたりで腐りかけた雨戸をがたぴしこじあけた。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
みな寝しずまったころ、三十歳くらいのヘロインは、ランタアンさげて腐りかけた廊下の板をぱたぱた歩きまわるのであるが、私は、いまに、また、どこか思わざる重い扉が、ばたあん、と一つ、とてつもない大きい音をたてて閉じるのではなかろうかと、ひやひやしながら、読んでいった。
— 太宰治 『音に就いて』 青空文庫
(矛盾は巴里それ自身の性格でもあるように)何か内へ腐り込まれた毒素があって、たといそれが肉体的のものにしろ精神的のものにしろそれに抗素する女のいのちのうめきが彼女の唄になるのであろう。
— 岡本かの子 『巴里の唄うたい』 青空文庫
そうしてその腐りかかった、間に合わせの時と空間を取って捨てて、新しい健全なものをその代りに植え込んだ。
— 寺田寅彦 『アインシュタイン』 青空文庫
身の行ひは清くもあれ、心の腐りのすてがたくば、同じ不貞の身なりけるを、いざさらば心試しに拝し参らせん。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
吉永は、胸が腐りそうな気がした。
— 黒島伝治 『渦巻ける烏の群』 青空文庫
溝の水は澱んで腐り、泥の中からは棒振りが尾を出していた。
— 黒島伝治 『「紋」』 青空文庫
小山は、下顎骨が燐の毒で腐り、その上、胸を侵され、胴で咳をしていた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫