傷み
いたみ
名詞
標準
文例 · 用例
その甚痛のするどきこと菊のごときものはなく、菊よりして傷みを發すること疾患聖者の手のごときものはない。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
手は酸蝕されたる石英の如くにして傷みもつとも烈しくなる。
— 萩原朔太郎 『散文詩・詩的散文』 青空文庫
宇宙万象の秋、人の心に食い込む秋思の傷みを咏じ尽して遺憾なく、かの芭蕉の名句「秋ふかき隣は何をする人ぞ」と双壁し、蕪村俳句中の一名句である。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
驛路に見送る人人よ悲しみの底に齒がみしつつ告別の傷みに破る勿れ。
— 萩原朔太郎 『氷島』 青空文庫
彼は、からだの傷みと共に、堪え得ぬ渇と飢えとに迫られていたのだった。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
自分は竹一にだけは、前から自分の傷み易い神経を平気で見せていましたし、こんどの自画像も安心して竹一に見せ、たいへんほめられ、さらに二枚三枚と、お化けの絵を画きつづけ、竹一からもう一つの、「お前は、偉い絵画きになる」 という予言を得たのでした。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
ちゞれ雲西に傷みて、 いささかの粉雪ふりしき、警察のスレートも暮れ、 売り出しの旗もわびしき。
— 宮沢賢治 『文語詩稿 一百篇』 青空文庫
……ところで(船中には、一人坊主を忌むとて、出家一|人のみ立交る時は、海神の祟ありと聞けば、彼の美女の心、いかばかりか、尚おその上に傷みなむ。
— 泉鏡花 『河伯令嬢』 青空文庫