義賊
ぎぞく
名詞
標準
chivalrous thief
文例 · 用例
越前が、長吉の調書を見たとき、「此者は本所緑町に住まっているが、町民の間では義賊と云う噂がある。
— 菊池寛 『奉行と人相学』 青空文庫
それが大名屋敷へばかり忍び込んで、盗んだ金は窮民へ施したと云ふ所から、当時は義賊と云ふ妙な名前が、一般にこの盗人の代名詞になつて、どこでも盛に持て囃されてゐた。
— 芥川龍之介 『戯作三昧』 青空文庫
それが大名屋敷へばかり忍び込んで、盗んだ金は窮民へ施したというところから、当時は義賊という妙な名前が、一般にこの盗人の代名詞になって、どこでも盛んに持てはやされていた。
— 芥川龍之介 『戯作三昧』 青空文庫
因果な根性で、自分でも愕いていやすよ」 と、ぬけぬけと並べる盗賊の、赧らめもせぬ面魂を、三斎隠居は、まんじりともせず眺めたまま、「しかし世間では、貴様のことを、義賊の、侠賊のと、いっているそうだが、本当にそうした、慈悲、善根も積んでいるかの?
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
義賊の、侠賊のと、人気があるのを、いい気になりゃあがって、よくも人をひどい目に逢わしゃあがったな!
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
まだ其の頃は圓朝師も芝居掛り大道具というので、所謂落語と申しましては一夜限り或は二日続きぐらいのもの、其の内で永く続きましたのが新皿屋敷、下谷義賊の隠家、かさねヶ淵の三種などでございます。
— 三遊亭圓朝 『後の業平文治』 青空文庫
じつにどうも癪に障るが、その晩の芦洲の口演を、ヂッと楽屋で聴いてゐると、その描写の巧さ、義賊も侠客も御家人も美妓もみな宛らの浮彫りで、つい給金を呉れない不平など忘れてしまふ。
— 正岡容 『落語家温泉録』 青空文庫
岩田のKという泥棒は、この常南地方の「出身」で伝説的な義賊である。
— 犬田卯 『沼畔小話集』 青空文庫