川霧
かわぎり
名詞
標準
river mist
文例 · 用例
まして川霧の下を筏の火が淡く燃えながら行く夜明方の空に、杜鵑が満川の詩思を叫んで去るという清絶爽絶の趣を賞することをやだ。
— 幸田露伴 『夜の隅田川』 青空文庫
道子が堤防の上に立ったときは、輝いていた西の空は白く濁って、西の川上から川霧と一緒に夕靄が迫って来た。
— 岡本かの子 『快走』 青空文庫
烏摩后その故を問うと、某ヴィシュヌを念ずるに一心にして妻がいかにかの一儀を勤むるも顧みず「川霧に宇治の橋姫朝な/\浮きてや空に物思ふ頃」ほかにいいのがあるんだろうと、九月一日の東京|然と大焼けに焼けた妻が拙者を詛うて、別嬪でも醜婦でも、一切の物、わが夫に見られたらたちまち破れおわれと詛うた。
— 鼠に関する民俗と信念 『十二支考』 青空文庫
川霧たちこめて、水聲高く聞ゆ。
— 大町桂月 『多摩川冒險記』 青空文庫
「朝ぼらけ家路も見えず尋ねこし槙の尾山は霧こめてけり 心細いことです」 と言って、またもとの席に帰って、川霧をながめている薫は、優雅な姿として都人の中にも定評のある人なのであるから、まして山荘の人たちの目はどれほど驚かされたかもしれない。
— 橋姫 『源氏物語』 青空文庫
外をながめながら後ろの板へよりかかっていた薫の重なった袖が、長く外へ出ていて、川霧に濡れ、紅い下の単衣の上へ、直衣の縹の色がべったり染まったのを、車の落とし掛けの所に見つけて薫は中へ引き入れた。
— 東屋 『源氏物語』 青空文庫
川霧はまったく晴れてオールに破れた川面が、小波をたてて、日にキラキラと光った。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
モヤモヤと川霧が立ちのぼって河が乳白色にぼかされてゆく。
— 佐藤紅緑 『少年連盟』 青空文庫
作例 · 標準
幻想的な川霧に包まれた橋の上を、始発電車がゆっくりと走り抜けていく。
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早朝の渓谷を訪れると、真っ白な川霧が水面を這うように漂っていた。
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「わあ、川霧のせいで対岸が全く見えないね」と、彼女は目を細めた。
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冬の冷え込んだ朝、温泉街の川から立ち上る川霧が情緒ある風景を作り出していた。
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