官印
かんいん
名詞
標準
official seal
文例 · 用例
芳香をたよりに探して、稀に探しあてたとなると、官憲に申告して、伐採剥皮の上、これに官印を押して貰はなければならなかつた。
— 林芙美子 『浮雲』 青空文庫
僕璽とは太僕の官印のことである。
— 桑原隲藏 『秦始皇帝』 青空文庫
だが新刊の本が買えないから、古い本でもそれを読むよりほかにしようがなかった、そこでおれはそれを読んだ、友達が遊びにきておれの机の上をジロジロ見るとき、おれははずかしくて本をかくしたものだ、太政官印刷なんて本があるんだからな、実際はずかしかったよ。
— 佐藤紅緑 『ああ玉杯に花うけて』 青空文庫
彼は太政官の官印を盗んで符を下し、ひそかに兵数を増加した。
— 坂口安吾 『道鏡』 青空文庫
オレが直々借り出しに出かけるから、天狗が安心して古文書を差出すように官印のついた借用書を用意してくれというわけで、番頭の定助も従って行ったと思いますが、村役人の従者も二人ついて行ったのです。
— その十七 狼大明神 『明治開化 安吾捕物』 青空文庫
勘定局を建てられ〔この人選ことに大切なり〕差寄五百万両くらいの紙幣|出来皇国政府の官印を押し通用相成るべきこと。
— 徳富蘇峰 『将来の日本』 青空文庫
……もしお気があるなら万端の手続き費用、また五|花ノ度牒(官印のある僧籍免許状)などもさっそく調えるが」「いったい、寺入りするといえば、どこの寺へなので」「ここより三十里|彼方に、五|台山という名山がある。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
だまって、その公文書に裁可の官印を捺して下げてきた。
— 吉川英治 『新・水滸伝』 青空文庫
作例 · 標準
律令制下の地方行政において、国司が発する公文書には、その正当性を証明するために「国印」と呼ばれる官印の押印が不可欠であった。
博物館の特別展では、歴代の王朝が権威の象徴として用いた重厚な官印が、当時の外交文書とともに展示されている。
幕府の役人は、緊急の通達を携えた使者が持参した官印の印影を確認し、即座に城門を開くよう命じた。
「たとえ私信であっても、一度官印を捺したならば、それは個人の言葉ではなく国家の意志となるのだ」と、老練な書記官は若者に諭した。