空腹感
くうふくかん
名詞
標準
feeling of emptiness in the stomach
文例 · 用例
彼は穴の奧で三日間は蟲の息で、生きてゐるのだか死んでゐるのだか、それこそ全く幽明の境をさまよひ、四日目に、猛烈の空腹感に襲はれ、杖をついて穴からよろばひ出て、何やらぶつぶつ言ひながら、かなたこなた食ひ搜して歩いてゐるその姿の氣の毒さと來たら比類が無かつた。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
「まるで大阪みたいな奴だ」 所が、きけばその青年は一種の飢餓恐怖症に罹っていて、食べても食べても絶えず空腹感に襲われるので、無我夢中で食べているという事である。
— 織田作之助 『大阪の憂鬱』 青空文庫
カステラも、パンもあるよ、などと言って騒ぎますので、自分は持ち前のおべっか精神を発揮して、おなかが空いた、と呟いて、甘納豆を十粒ばかり口にほうり込むのですが、空腹感とは、どんなものだか、ちっともわかっていやしなかったのです。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
自分だって、それは勿論、大いにものを食べますが、しかし、空腹感から、ものを食べた記憶は、ほとんどありません。
— 太宰治 『人間失格』 青空文庫
彼は穴の奥で三日間は虫の息で、生きてゐるのだか死んでゐるのだか、それこそ全く幽明の境をさまよひ、四日目に、猛烈の空腹感に襲はれ、杖をついて穴からよろばひ出て、何やらぶつぶつ言ひながら、かなたこなた食ひ捜して歩いてゐるその姿の気の毒さと来たら比類が無かつた。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
佗しい朝の食事の後では忽ち猛烈な空腹感が襲ひかかつて来る。
— 原民喜 『飢ゑ』 青空文庫
三度、三度の外食食堂では玉蜀黍の団子がつきものなのだが、あの日まはりの花のやうに真黄な団子は嚥下するのに困難であつても、とにかく空腹感を満たしてくれる。
— 原民喜 『災厄の日』 青空文庫
空腹を感じたことは何度かあるが、それは飢餓ではなく、健康者が普通に持つ空腹感であった。
— ある新聞記者の見た敗戦 『比島投降記』 青空文庫