往昔
おうせき
名詞
標準
ancient times
文例 · 用例
大陸移動説を唱えたウェーゲナーは、この事実をもってヨーロッパと北米大陸とが往昔連結していたという自説の証拠の一つとしてこれを引用しているくらいである。
— 寺田寅彦 『比較言語学における統計的研究法の可能性について』 青空文庫
往昔から此洋中で、海賊船の襲撃を蒙つて、悲慘なる最後を遂げた船は幾百千艘あるかも分らぬ。
— 押川春浪 『海島冐檢奇譚 海底軍艦』 青空文庫
講義は朝の六時か七時頃から始めるので、往昔の寺子屋を其儘、学校らしい処などはちっともなかったが、其頃は又寄宿料等も極めて廉く――僕は家から通って居たけれど――慥か一カ月二円位だったと覚えて居る。
— 夏目漱石 『落第』 青空文庫
往昔、兵馬|倥※武門勇を競い、風流まったく廃せられし時と雖も、ひとり茶道のみは残りて存し、よく英雄の心をやわらげ、昨日は仇讐相視るの間も茶道の徳に依りて今日は兄弟相親むの交りを致せしもの少しとせずとやら聞及申候。
— 太宰治 『不審庵』 青空文庫
その往昔のこのお角という女の童も、うつそみの世にはいのちを阻まれる節があり末の世を頼みに、そのいのちをせめて非情の草木に向けて生い移した不幸な女性群の一人ではなかったのでしょうか。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
往昔、西行上人此地を過ぎ、畑の麦を見、村童を顧みて何の草ぞと戯れたまひしに、童すなはち冬茎立の夏枯草とし答へたりければ、何思ひたまひけむ、そのまま元来し道に歩み返したまひにけり。
— 北原白秋 『海阪』 青空文庫
平和家|泣を啜つて曰く、往昔の日本は実に無量の罪悪を犯せり、われ幸にして、当時貴邦に遊ばず、若し遊びしならば、我は為に懊悩して死せしならむと。
— 北村透谷 『想断々(1)』 青空文庫
以前から(徳川時代から)忌避され軽蔑されていた肉慾描写や不倫の世相が、自然主義の輸入以来、臆面もなく逆照され初めて、往昔、最低級の芸術として扱われていた作品が、堂々として一般民衆の趣味傾向の王座を占むる事となった。
— 夢野久作 『甲賀三郎氏に答う』 青空文庫
作例 · 標準
例句