台甫
たいほ
名詞
標準
your personal name
文例 · 用例
野も山も新緑で、はだかになってしまいたいほど温く、私には、新緑がまぶしく、眼にちかちか痛くって、ひとり、いろいろ考えごとをしながら帯の間に片手をそっと差しいれ、うなだれて野道を歩き、考えること、考えること、みんな苦しいことばかりで息ができなくなるくらい、私は、身悶えしながら歩きました。
— 太宰治 『葉桜と魔笛』 青空文庫
その頃の生徒や教師に対して、一人一人にみな復讐をしてやりたいほど、僕は皆から憎まれ、苛められ、仲間はずれにされ通して来た。
— 萩原朔太郎 『僕の孤独癖について』 青空文庫
それは、網棚にでも上りたいほど、乗り込んでいた。
— 葉山嘉樹 『乳色の靄』 青空文庫
窓向うの壁がかぶりつきたいほどうまそうな狐色に見えた。
— 岡本かの子 『売春婦リゼット』 青空文庫
よだかはその火のかすかな照りと、つめたいほしあかりの中をとびめぐりました。
— 宮沢賢治 『よだかの星』 青空文庫
捉えがたいほのかなかおりを予想する。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
はだかの肌をするする撫でられるようなころ合いの酸味に、飯と、玉子のあまみがほろほろに交ったあじわいが丁度舌一ぱいに乗った具合――それをひとつ喰べて仕舞うと体を母に拠りつけたいほど、おいしさと、親しさが、ぬくめた香湯のように子供の身うちに湧いた。
— 岡本かの子 『鮨』 青空文庫
そして、その完成までの苦心努力が深ければ深いほど、思ひ出は時には涙ぐみたいほど痛切であるに違ひない。
— 南部修太郎 『處女作の思ひ出』 青空文庫
作例 · 標準
書簡の宛名に「台甫」という言葉を添えることで、相手の氏名に対する深い敬意を示すことができる。
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「恐れ入りますが、台甫を承ってもよろしいでしょうか」と、受付の秘書が丁寧な口調で応対した。
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昔の文人たちが交わした格調高い手紙には、互いの台甫を用いた風雅な表現が随所に散見される。
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