余響
よきょう
名詞
標準
echo
文例 · 用例
この地質地形の複雑さの素因をなした過去の地質時代における地殻の活動は、現代においてもそのかすかな余響を伝えている。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
そうして一つのものの余響はやがて次の声の中に没し、そういう事が順次に引き続いていつまでも繰り返される。
— 寺田寅彦 『神田を散歩して』 青空文庫
その瞬間に自分の頭の中のどこかのすみを他の同窓のだれかれの影が通り過ぎてすぐ消えたのかもしれない、そうして中でもいちばん早くなくなったS君の記憶が多少特別なアクセントをもって印銘された、その余響のようなものがこの夢のS君出現の動機になったのだと仮定すると不思議でなくなる。
— 寺田寅彦 『三斜晶系』 青空文庫
村の貯水池や共同水車小屋が破壊されれば多数の村民は同時にその損害の余響を受けるであろう。
— 寺田寅彦 『天災と国防』 青空文庫
アメリカのジャズとドイツのジャズとの偶然な対比の余響からたまたまそういう気がしたかもしれない。
— 寺田寅彦 『映画雑感(1)』 青空文庫
そのあとで、解放された男女職工が野外のメイポールの下で踊るのがやはり円運動の余響として見られる。
— 寺田寅彦 『映画雑感(1)』 青空文庫
素絃 清商を発し、余響 樽爼を繞る。
— 幸田露伴 『運命』 青空文庫
ほんとうのキリスト教はもうとうの昔に亡びてしまって、ただ幽かな余響のようなものが、わずかに、こういう音楽の中に生き残っているのではないか。
— 寺田寅彦 『柿の種』 青空文庫