一朶
いちだ
名詞
標準
(a) branch (of flowers)
文例 · 用例
白馬岳の又の名を越後方面では大蓮華山といっている、或人の句に「残雪や御法の不思議蓮華山」とあるからは、これも一朶の白蓮華、晶々たる冬の空に、高く翳されて咲きにおうから、名づけられたのかも知れない。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
一朶の珊瑚島のごとく水平線上に浮いた夕日の雲が反射したのである。
— ――(前題――楊弓) 『ピストルの使い方』 青空文庫
屋の棟を、うしろ下りに、山の中腹と思う位置に、一朶の黒雲の舞下ったようなのが、年数を知らない椎の古木の梢である。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
たちまち一朶紅の雲あり、夢のごとく眼を遮る。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
悚然として、向直ると、突当りが、樹の枝から梢の葉へ搦んだような石段で、上に、茅ぶきの堂の屋根が、目近な一朶の雲かと見える。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫
ちょうど汀の銀の蘆を、一むら肩でさらりと分けて、雪に紛う鷺が一羽、人を払う言伝がありそうに、すらりと立って歩む出端を、ああ、ああ、ああ、こんな日に限って、ふと仰がるる、那須嶽連山の嶺に、たちまち一朶の黒雲の湧いたのも気にしないで、折敷にカンと打った。
— 泉鏡花 『神鷺之巻』 青空文庫
時に、真先に、一朶の桜が靉靆として、霞の中に朦朧たる光を放つて、山懐に靡くのが、翌方の明星見るやう、巌陰を出た目に颯と映つた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
第七段頃しも弘安四年、閏七月の朔日、ああら不思議や、京にては晴れに晴れたる夏空に一朶の黒雲|神立ち現れ、白羽はいだる鏑矢の見る見る輝き鳴動して、たちまち西へと飛び去りける。
— 北原白秋 『新頌』 青空文庫
作例 · 標準
いけばなの先生は、真ん中に一朶の桜を大胆に配し、全体の調和を図った。
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庭の片隅で、一朶の紫陽花が雨露に濡れて色鮮やかに咲き誇っていた。
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玄関に一朶の華やかな花を飾ると、途端に部屋の雰囲気が明るくなった。
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窓辺に飾られた一朶のユリは、部屋に上品な香りを漂わせていた。
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