意中
いちゅう
名詞
標準
one's mind
文例 · 用例
江戸褄の下から加茂川染の襦袢を見せるというので「派手娘江戸の下より京を見せ」という句があるが、調和も統一も考えないで単に華美濃艶を衒う「派手娘」の心事と、「つやなし結城の五ほんて縞、花色裏のふきさへも、たんとはださぬ」粋者の意中とには著しい隔りがある。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
貴女はわしの意中を理解されたようだ。
— 吉行エイスケ 『バルザックの寝巻姿』 青空文庫
幸い八田という意中人が、おまえの胸にできたから、おれも望みが遂げられるんだ。
— 泉鏡花 『夜行巡査』 青空文庫
その時、ふと考えついたのは、おぬいさんがすでに意中の人を持っているなということだった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫
既に法律上故なく擅となってあるが、その方の意中を今一応|尋ねよう。
— 宮沢賢治 『ペンネンネンネンネン・ネネムの伝記』 青空文庫
まさか奥様に、とも言えませんから、主人に逢って、――意中を話しますと――(夜中何事です。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
どうぞもう、眠らずにお療治ができないようなら、もうもう快らんでもいい、よしてください」 聞くがごとくんば、伯爵夫人は、意中の秘密を夢現の間に人に呟かんことを恐れて、死をもてこれを守ろうとするなり。
— 泉鏡花 『外科室』 青空文庫
渠はこのときまで、一箇の頼もしき馬丁としてその意中に渠を遇せしなり。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫