筆勢
ひっせい
名詞
標準
stroke (dash) of the pen
文例 · 用例
二人の文章の一端を捉へ來つて對象してみれば、前者のそれには如何に神經が鋭く行きわたり、また一字一字が如何に骨を折つて書かれてゐるかが忽ち感じられるし、後者のそれには如何に筆勢が躍動して、時にはやや粗雜に書きなぐるといふほどに筆が走りまはつてゐるのを忽ち感じるであらう。
— 南部修太郎 『氣質と文章』 青空文庫
そんな手落ちはあったが、その代り(といってはおかしいが)それに続く一節は、筆者の脚色力はさきの事実の見落しを補って余りあるほど逞しく、筆勢もにわかに鋭い。
— 織田作之助 『勧善懲悪』 青空文庫
尾崎士郎氏の「時間」は随分と自由に手放しに書きまくつてゐるが筆勢には鮮やかなものがあり次第に特質といふべきものをはつきりと体得して、素質のうるはしさを発揮するさまが窺はれ、僕は不図、夏の月大なぎなたの光りかな――といふ子規の句を思ひ出したりした。
— 牧野信一 『月評』 青空文庫
青筋出して肝癪起した二葉亭の面貌が文面及び筆勢にありあり彷彿して、当時の二葉亭のイライラした極度の興奮が想像された。
— 内田魯庵 『二葉亭四迷の一生』 青空文庫
文晁畫譜は彼が初期の作であらうか、非常に寫實に畫いてゐるから、日本畫の弊として筆勢らしいものがいくらか山の特性を失つてゐるかも知れないとしても、克明に寫生して後世に殘したものは有難いと思ふ。
— 竹久夢二 『砂がき』 青空文庫
文学の仕事から推し母の絵の修業にも関心をもっていた私は、母の云う筆勢なるものにいくらか不安も持ったりした。
— 宮本百合子 『母』 青空文庫
文学作品で云えばメロドラマティックな誇張に陥るのではないかと、母の筆勢論には消極なうけこたえしか出来なかった。
— 宮本百合子 『母』 青空文庫
崋山の『一掃百態』はその筆勢のたくましきことと、形体の自由自在に変化しながら姿勢のくづれぬ処とは、天下独歩といふてもよいが、しかし『文鳳麁画』に比すると、数において少なきのみならず趣味においてもいくらか乏しい処が見える。
— 正岡子規 『病牀六尺』 青空文庫
作例 · 標準
彼の書は、力強い筆勢が特徴だ。
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この絵からは、画家の奔放な筆勢が感じられる。
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達人の書には、独特の筆勢がある。
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