孤城
こじょう
名詞
標準
solitary castle
文例 · 用例
」と傍に座を給い、「婦人方の席へ我一人孤城落日という処じゃ。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
狂言は新作の「妹背山」と「孤城落月」の糒蔵。
— 岡本綺堂 『明治演劇年表』 青空文庫
けれども、一夜、転輾、わが胸の奥底ふかく秘め置きし、かの、それでもやっと一つ残し得たかなしい自矜、若きいのち破るとも孤城、まもり抜きますとバイロン卿に誓った掟、苦しき手錠、重い鉄鎖、いま豁然一笑、投げ捨てた。
— 太宰治 『創生記』 青空文庫
自然は吾人に服従を命ずるものなり、「力」としての自然は、吾人を暴圧することを憚らざるものなり、「誘惑」を向け、「慾情」を向け、「空想」を向け、吾人をして殆ど孤城落日の地位に立たしむるを好むものなり、而して吾人は或る度までは必らず服従せざるべからざる「運命」、然り、悲しき「運命」に包まれてあるなり。
— 北村透谷 『人生に相渉るとは何の謂ぞ』 青空文庫
嚢陽累歳孤城に因る湖山に豢養して出征せず識らず咽喉形勢の地公田|枉げて自ら蒼生を害す 秋壑は怒って誹謗者を遠流に処した。
— 田中貢太郎 『緑衣人伝』 青空文庫
八月なかばの夕日は孤城を囲んだ大軍のように筵張りの小屋のうしろまでひた寄せに押し寄せて、すこしの隙もあらば攻め入ろうと狙っているらしく、破れた荒筵のあいだから黄金の火箭のような強い光りを幾すじも射込んだ。
— 岡本綺堂 『両国の秋』 青空文庫
すべてこの調子で、象牙彫りは一世を圧倒するの勢いでありましたが、それに引き代え、木彫りは孤城落日の姿で、まことに散々な有様でありました。
— 象牙彫り全盛時代のはなし 『幕末維新懐古談』 青空文庫
――会津中将松平容保が薩長の執拗な江戸追討を憤って、単身あくまでもその暴虐横暴に拮抗すべく、孤城若松に立て籠ってから丁度六日目のことだった。
— 佐々木味津三 『十万石の怪談』 青空文庫
作例 · 標準
援軍も途絶え、食料も尽きかけた孤城で、兵士たちは死を覚悟して戦っていた。
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「まさに孤城落日の観があるが、最後まで諦めるわけにはいかない。」
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広大な荒野にポツンと建つその建物は、まるで忘れ去られた孤城のようだった。
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