乱調
らんちょう
名詞
標準
confusion
文例 · 用例
おどろおどろしい雨の中に、遠く山を隔てた隣国の都と思うあたり、馳違う人の跫音、ものの響、洪水の急を報ずる乱調の湿った太鼓、人の叫声などがひとしきりひとしきり聞えるのを、奈落の底で聞くような思いをしながら、理学士は恐しい夢を見た。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
今俺の感情は甚だしく乱調になつて居るのだ。
— 平出修 『公判』 青空文庫
人混を縫って歩きながら夜店の側に立ち止ったり、青年の進み方は不規則で乱調子になって来た。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
歩き方が乱調子になって来た青年の姿を見失うまいとして、かの女は嫌でも青年に近く随いて歩かねばならなかった。
— 岡本かの子 『母子叙情』 青空文庫
秀吉、家康は勿論の事、政宗にせよ、氏郷にせよ、少し前の謙信にせよ、信玄にせよ、天下麻の如くに乱れて、馬烟や鬨の声、金鼓の乱調子、焔硝の香、鉄と火の世の中に生れて来た勝れた魂魄はナマヌルな魂魄では無い、皆いずれも火の玉だましいだ、炎々烈々として已むに已まれぬ猛※を噴き出し白光を迸発させているのだ。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
悲哀――いうにいわれぬ悲哀がそのうちに表わされているかのようで、また非常な熱望と、それをつらぬいて時どきに狂喜の乱調とが伴っていた。
— 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃 『世界怪談名作集』 青空文庫
これを機掛に、蝶吉は人形と添寝をして少し取乱したまま、しどけなく、乱調子に三階から下りて来て、突然、「どこにさ、」と嬰児の強請るようにいいながら、人前を澄した顔。
— 泉鏡花 『湯島詣』 青空文庫
ヨブは自己の哀語の乱調を明に認めていたのである。
— 内村鑑三 『ヨブ記講演』 青空文庫
作例 · 標準
先発を任された期待のエースピッチャーは、プレッシャーからか初回からストライクが入らず制球がひどい乱調で、あっという間にフォアボールを連発してノーアウト満塁のピンチを招いてしまった。
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海外の紛争による原油価格の高騰など、世界的な経済の乱調により、これまで安定していた多くの優良企業の株価までもが専門家にも全く予測不可能な激しい乱高下の動きを見せている。
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毎晩徹夜続きで連載漫画の厳しい原稿の締め切りに追われて昼夜逆転の生活リズムが完全に崩れ、食事もろくにとらなかったため、すっかり心身が乱調をきたしてしまいついに病院のベッドで点滴を受ける羽目になった。
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