緋色
ひいろ
名詞名詞-の形容詞
標準
scarlet
文例 · 用例
全身緋色なんだつて。
— 泉鏡太郎 『印度更紗』 青空文庫
で、六が砂まぶれの脚絆をすじりもじって、別荘の門を通ったのと、一足違いに、彼は庭下駄で、小石を綺麗に敷詰めた、間々に、濃いと薄いと、すぐって緋色なのが、やや曇って咲く、松葉牡丹の花を拾って、その別荘の表の木戸を街道へぶらりと出た。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
窓から見る松原の葭簀茶屋と酸漿提灯と、その影がちらちら砂に溢れるような緋色の松葉牡丹ばかりが、却って目に涼しい。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
深く濃い眞緑の翼が晃々と光つて、緋色の線でちら/\と縫つて、裾が金色に輝きつゝ、目と目を見合ふばかりに宙に立つた。
— 泉鏡太郎 『番茶話』 青空文庫
学円 谷の姫百合も緋色に咲けば、何もそれに不思議はない。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
二丈三丈、萌黄色に長く靡いて、房々と重って、その茂ったのが底まで澄んで、透通って、軟な細い葉に、ぱらぱらと露を丸く吸ったのが水の中に映るのですが――浮いて通るその緋色の山椿が……藻のそよぐのに引寄せられて、水の上を、少し斜に流れて来て、藻の上へすっと留まって、熟となる。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
――見る内に、その第一の水車の歯へ、一輪紅椿が引掛った――続いて三ツ四ツ、くるりと廻るうちに七ツ十ウ……たちまちくるくると緋色に累ると、直ぐ次の、また次の車へもおなじように引搦って、廻りながら累るのが、流れる水脚のままなんですから、早いも遅いも考える間はありません。
— 泉鏡花 『半島一奇抄』 青空文庫
――氷月の雪の枝折戸を、片手ざしの渋蛇目傘で、衝いて入るように褄を上げた雨衣の裾の板じめだか、鹿子絞りだか、あの緋色がよ、またただ美しさじゃない、清さ、と云ったら。
— 泉鏡花 『薄紅梅』 青空文庫
作例 · 標準
彼女が身に纏った緋色のドレスは、パーティー会場で一際目を引いた。
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秋の深まりとともに、神社の境内の紅葉が燃えるような緋色に変わっていく。
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江戸時代の工芸品には、この深い緋色を用いた美しい漆器が数多く残っている。
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