我を忘れる
われをわすれる
表現動詞-一段
標準
to forget oneself
文例 · 用例
その後交通は急劇に頻繁となり、人は竟に自然をだけ克服する力では、眩ぐるしき対人圏に於て誠実たり得ず、やがては我を忘れるに到つたのである。
— 中原中也 『詩に関する話』 青空文庫
婦人は、しきりに、その独語に巧妙な同胞の、鼻筋の通った、細表の、色の浅黒い、眉のやや迫った男の、少々しい口許と、心の透通るような眼光を見て、ともすれば我を忘れるばかりになるので、小児は手が空いたが、もう腹は出来たり、退屈らしく皿の中へ、指でくるくると環を描いた。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
」としめやかに朱唇が動く、と花が囁くやうなのに、恍惚して我を忘れる雪枝より、飛騨の国の住人以つての外畏縮に及んで、「南無三宝、あやまり果てた。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
そしてまた再び浮き上って来ましたが、今はもう、さっきの鳥の不思議な気持にすっかりとらわれて、我を忘れるくらいです。
— DEN GRIMME AELING 『醜い家鴨の子』 青空文庫
我を忘れる混戦の中でも、流石に心々の色は見える。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
我を忘れる混戰の中でも、流石に心々の色は見える。
— 石川啄木 『鳥影』 青空文庫
私は裏へ廻ると、日のささぬ軒下のじめじめした青黴に眺め入つたり、金網の中から覗いてゐる淡紅色の兎の耳の中の奇妙ないぼいぼに見入つたり、空を切つて大きく張り渡つた蜘蛛の巣の巧緻な形に驚いたり、水甕の底深く沈んでゐる鯉の美事な悠々たる鱗の端正さに、我を忘れる樂しさを感じようとした。
— 横光利一 『榛名』 青空文庫
単純な、適当な言葉で云えば非常な喜びで我を忘れる事も、深い懐疑に沈潜する事も、こわいのである。
— 宮本百合子 『概念と心其もの』 青空文庫
作例 · 標準
あまりに美しい夕焼け空を前に、彼女は我を忘れるほどその景色に見入っていた。
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怒りのあまり我を忘れるような振る舞いをしてしまい、後で深く後悔した。
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赤ん坊の無垢な笑顔を見ていると、日々の忙しさを忘れて我を忘れるひと時を過ごせる。
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