通人
つうじん
名詞
標準
man of the world
文例 · 用例
一寸知つた程度の人が、五人ゐはしたが、その中の四人はIの尊敬者であり、一人は、朴直な粧ひをした通人で、愚直な私など相手にして呉れるべくもなかつた。
— 中原中也 『我が生活』 青空文庫
細木香以に就いては、森鴎外くはしくこれを述べて居る故、われら小倉袴のぶんを以てかれこれ言ふべきではないが、通人とは、世人が考へて居られる如き、藝者末社をひきつれ、自らを何のや主人と稱して長唄の稽古にいそしみ、その巷に於いて兄さん兄さんと呼ばれて居る樣の、そんなふざけたものではないやうである。
— 太宰治 『人物に就いて』 青空文庫
その點では、天下の大野暮乃木將軍も亦、ものの見事に通人の資格あらむ乎。
— 太宰治 『人物に就いて』 青空文庫
すなわち通人粋客に対して、世態に通じない、人情を解しない野人田夫の意である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
その男は極めて普通人|型の出来の好い方で、晩学ではあったが大学も二年生まで漕ぎ付けた。
— 幸田露伴 『観画談』 青空文庫
聞くさえ忌わしいことだが、掘出し物という語は無論こういう事に本づいて出来た語だから、いやしくも普通人的感情を有している者の使うべきでも思うべきでもない語であり事である。
— 幸田露伴 『骨董』 青空文庫
以上の程度までは物理学者も素人もあまり変わりはないようであるが、物理学者と素人と異なる所は普通人間にも存するこのような感覚をはなれた見方をどこまでも徹底させて行く点にある。
— 寺田寅彦 『物理学と感覚』 青空文庫
そうして、普通人間の手に触れる物体は自然に油脂類のそういう皮膜でおおわれていて、それを完全に除去するのはなかなか容易でない事が知られている。
— 寺田寅彦 『日常身辺の物理的諸問題』 青空文庫