恰幅
かっぷく
名詞
標準
large, broad-shouldered physique (esp. that of a middle-aged man)
文例 · 用例
恰幅のよい長身に両手をだらりと垂らし、投出して行くような足取りで、一つところを何度も廻り返す。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
「まあ、お熊……お前はまあ何と言う……ダダ……誰が斯様なこと、したかいなあ……」 そのアトから人を分けて入って来た半白髪の恰幅のいい老人は、女房の肩ごしに娘の死骸を一眼見るや否や、両手をシッカリと握り合わせたまま石甃の上にドスンと尻餅を突いてしまった。
— ――博多名物非人探偵 『狂歌師赤猪口兵衛』 青空文庫
小相撲ぐらい恰幅のある、節くれだった若い衆でしたが……」 場所がまた悪かった。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
」 恰幅のよい依頼人はいくぶん誇らしげに胸を張った。
— THE RED-HEADED LEAGUE 『赤毛連盟』 青空文庫
満洲に放浪していた頃は、馬賊の群に交って、相応な働をしたと言われるほどあって、筋骨の逞しい、鬼のようにいかつい恰幅をした壮士で、日本に帰って来てからは、そこらの電車に乗るのにいつも切符というものを持たないで、車掌がそれを喧しく言うと、「俺は東馬だ。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
その気品、水ぎわ立った恰幅、直参なればこそ自ら溢れ出る威厳です。
— 京へ上った退屈男 『旗本退屈男 第四話』 青空文庫
――これは余談ですが、人はやはり身に備わった芸技と、その命運の示すところに左右されるものとみえて、りっぱなお直参にもなれる身分でありながら、断然江戸錦は関取修業をつづけ、のち三年にして関脇の栄位を修め、恰幅貫禄ならびにその美貌から、一世の人気をほしいままにしたということでした。
— 毒色のくちびる 『右門捕物帖』 青空文庫
それによると、恰度惨劇の起った時刻の直後に、灰色の大きなオーバーを着た恰幅のいい船長級の男が、砲手の募集にやって来たが、時間外で合宿所のほうへ廻ると、そこにゴロゴロしていた失業海員の中から、砲手を一人雇って行ったと云うのだ。
— 大阪圭吉 『動かぬ鯨群』 青空文庫