一道
いちどう
名詞
標準
one road
文例 · 用例
仮りに科学的に信憑すべき根拠よりして、来る六十年ないし七十年間に某火山系に活動を予期し得るとせば、個人に対してはともかく、一県一道の為政者にとりては多大の参考となるべし。
— 寺田寅彦 『自然現象の予報』 青空文庫
平淡な叙述の内に一道の寂しい情調が漲って居る。
— 伊藤左千夫 『歌の潤い』 青空文庫
大きな長方形の真空ガラス箱内の一方にB教授が「テレラ」と命名した球形の電磁石がつり下がっており、他の一方には陰極が插入されていて、そこから強力な陰極線が発射されると、その一道の電子の流れは球形磁石の磁場のためにその経路を彎曲され、球の磁極に近い数点に集注してそこに螢光を発する。
— 寺田寅彦 『B教授の死』 青空文庫
)(何のお前様、見たばかりじゃ、訳はござりませぬ、水になったのは向うのあの藪までで、後はやっぱりこれと同一道筋で山までは荷車が並んで通るでがす。
— 泉鏡花 『高野聖』 青空文庫
前記の浴室より、もう少し左上に当たる崖の上に貸し別荘があって、その明け放した座敷の電燈が急に点火するときにそれをこっちのベランダで見ると、時によっては、一道の光帯が有限な速度で横に流出するように見えることがある。
— 寺田寅彦 『人魂の一つの場合』 青空文庫
コーヒー茶わんの縁がまさにくちびると相触れようとする瞬間にぱっと頭の中に一道の光が流れ込むような気がすると同時に、やすやすと解決の手掛かりを思いつくことがしばしばあるようである。
— 寺田寅彦 『コーヒー哲学序説』 青空文庫
こういうふうに考えてくると流涕して泣くという動作には常に最も不快不安な緊張の絶頂からの解放という、消極的ではあるがとにかく一種の快感が伴なっていて、それが一道の暗流のように感情の底層を流れているように思われる。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
このように、遂げられなかった欲望がやっと遂げられたときの狂喜と、底なしの絶望の闇に一道の希望の微光がさしはじめた瞬間の慟哭とは一見無関係のようではあるが、実は一つの階段の上層と下層とに配列されるべきものではないかと思われる。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
作例 · 標準
「この細い山道は、まさに険しい一道だね。」
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彼は職人の一道を歩み、その道を極めることに人生を捧げた。
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「人生は時に、思わぬ一道へと導かれることがある。」
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危機に際し、国家は一道の決意をもって行動しなければならない。
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