一宵
いっしょう
名詞
標準
one evening
文例 · 用例
時も移りて我は老婆と少娘との紙帳に入りて一宵を過ごしぬ。
— 北村透谷 『三日幻境』 青空文庫
さて魂送りの夕べになると、大路小路に籠を提げたる貧の子幾たり、「お迎えお迎えお迎え」と精霊壇の供物などを申受け、何がしかの送り銭を得てこれを一宵の稼ぎとする。
— 柴田流星 『残されたる江戸』 青空文庫
いつもより一層遠く柔に聞えて来る鐘の声は、鈴木春信の古き版画の色と線とから感じられるような、疲労と倦怠とを思わせるが、これに反して秋も末近く、一宵ごとにその力を増すような西風に、とぎれて聞える鐘の声は屈原が『楚辞』にもたとえたい。
— 永井荷風 『鐘の声』 青空文庫
これは山崎美成の著した『海録』の巻の十三に引用してある牧墨僊の『一宵話』の文ですなわちそれは左の通りである。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫
上の『一宵話』の著者は、既に述べたようにシの場合に羊蹄の二字が使ってあるその訳柄が一向に判らなく、また『万葉集』のその後の解釈者もシの羊蹄が一の草名である事には気が附かずにいるようだ。
— 牧野富太郎 『植物記』 青空文庫
」〔客ハ来リ窮巷深泥ノ裏/門ハ掩ヅ連陰綿雨ノ時/三載淡交|直水ノ如ク/一宵ノ清話自ラ詩ヲ成ス〕という聯句がある。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
途上の作に曰く「心知白髪一宵添。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
」〔心ニ知ル白髪一宵ニ添フルヲ/客路鏡奩ヲ借ルニ由無シ/鉄券何人カ功績ヲ恃マンヤ/黄裳今日爻占ヲ玩ブ/頑雲月ヲ包ミテ山角ニ走リ/急霰風ニ乗リテ帽尖ヲ撲ツ/遺却ス身材ハ襪線ノ如シ/擬ス涓滴ヲ将テ炎炎ヲ救フニ〕 毅堂は時に年四十三。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
作例 · 標準
旅先の温泉宿で偶然相部屋になった見知らぬ客と、囲炉裏の火を囲みながら一宵語り明かした。
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秋の虫の音をBGMに、古書をめくりながら一宵を過ごすのが私のささやかな贅沢だ。
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停電で真っ暗になった部屋で、ロウソクの灯りだけを頼りに家族と一宵を明かすことになった。
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