瑰麗
かいれい
形容動詞
標準
extraordinarily beautiful
文例 · 用例
私は、その時促すことさへ怖るゝ心地で彼女の姿に吸はるゝやうに見返つてゐたが、そしてその時何んなことを話し、何んな風にして帰つたか、悉く忘却したが、あの瞬間の彼女の瑰麗な氷のやうな印象は今も鮮やかである。
— 牧野信一 『奇友往来』 青空文庫
明方の翼に稍ほのあかく染められた彼方の山の頂きを眼ざして、月の白光の波のまにまに打ちつづく私の眼界に現れる大行列は、ガスコンと唐松の崇神者連をごつちやにして、世にも怪奇瑰麗な賑々しい騒ぎであつた。
— 牧野信一 『バラルダ物語』 青空文庫
例に由って瑰麗の文章である。
— 「新青年」一九二六年三月 『マイクロフォン』 青空文庫
野辺山原から雪の晴れた朝、眉を圧して聳え立つ八ヶ岳の群巒を額越しに見上げて、其|瑰麗な姿に満足しない者があるだろうか。
— 木暮理太郎 『冬の山』 青空文庫
而して、此両者を併せ兼ねたるものは、即ち日本国民が古より伝えたる、最古日本説話の一にして、同時に日本説話宝庫を飾る、最も貴重なる宝珠の一に数う可き、瑰麗優美なる浦島説話なり。
— 高木敏雄 『比較神話学』 青空文庫
群青そのものの長襦袢また瑰麗を極め、これも夕風に煽られるたび、チラと艶かしく覗かるる。
— 正岡容 『小説 圓朝』 青空文庫
暗鬱と瑰麗の綾織り。
— ナルシシスムの運命 『三島由紀夫』 青空文庫
以前、驚くばかり瑰麗な花となって開いた純な人生の芸術的観照と再現は、少くとも表面上影を潜めて、ここには芸術的形式をかりた教化的意義が前面に押し出され、破邪顕正の思想が第一目的として主要な位置を占め、書物は大半、人間社会の悪と虚偽に対する論評で充たされている。
— 解題 『クロイツェル・ソナタ』 青空文庫
作例 · 標準
氷河が削り出した峻険な峰々に、沈みゆく陽光が反射して、辺り一帯は言葉を失うほど瑰麗な色彩に染まった。
王宮の大広間は、天井一面に施された金碧の装飾と瑰麗なシャンデリアによって、訪れる者を圧倒する荘厳さを放っていた。
その秘宝とされる宝冠には、現代の技術でも再現不可能なほど瑰麗な細工が施されており、見る者を歴史の深淵へと誘う。
彼の遺した短編小説は、その瑰麗な修辞と研ぎ澄まされた美意識によって、死後数十年を経てもなお色褪せぬ魅力を放っている。