隠遁者
いんとんしゃ
名詞
標準
recluse
文例 · 用例
――というのは、この隠遁者には興味と尊敬の念とを起させるものが多分にあったからなのだ。
— THE GOLD-BUG 『黄金虫』 青空文庫
裏庭の塀際か、垣根つづきに植えられて、自分の天地といっては、僅に方丈の空間に過ぎないことが多いが、唯いたずらに幹を伸し、枝を拡げるのは、自分の性分に合わないことを知っているこの灌木は、いかにも隠遁者らしい恰好で、まるまると背を円めて地べたにかいつくばっている。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
そしてその騒々しい草木が、花を閉じ、葉を振い落してしまうと、この謙遜な隠遁者はやっと自分の番が来たように、厚ぼったい葉の蔭から小さな盃を持ち出して来る。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
渡鳥は毎日のように寒空を横切って、思い思いの方角へ飛び往くのが見られるが、みんな自分の旅にかまけていて、誰ひとり途の通りがかりに空地に下りて来て、この隠遁者を見舞おうとはしない。
— 薄田泣菫 『艸木虫魚』 青空文庫
それは杜甫のことで、この悲観詩人が、あるとき秦州の塞上で隠遁者|阮※にめぐりあつた。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
考え事に耽つてゐる身にとつては、いくらか耳障りでないこともないが、さうかといつて、隠遁者許由のやうに、むきになつてそれを枝から取り外さうといふ気にもなれない。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
山での食物なら、先づ赤米、白塩、緑葵、紫蓼――といつたやうなところで……」 隠遁者が色づくしの美い名前を数へ立てると、それを傍で聞いてゐたある人が、横から口を出し、「山では蔬菜ばかしをめしあがつてゐるらしいが、そのなかで何が一番お口に合ひましたな。
— 薄田泣菫 『独楽園』 青空文庫
一体潔癖といふ事は、白鷺にとつても、人間にとつても、立派な、いゝ癖だが、ほんとうの事をいふと、かういふいい癖を持つてゐる人達は、白鷺が隠遁者で押つ通してゐるやうに、成るべくなら医者なぞにならぬ方がよい。
— 大正八(一九一九)年 『茶話』 青空文庫
作例 · 標準
「麓の村では、あの山小屋に住む隠遁者の老人がかつての名医だったという噂があるんだ」
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隠遁者は滅多に人前に姿を現さないが、時折、薬草を売るために町へ下りてくるという。
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「へえ、この洞窟で何十年も暮らしていた隠遁者がいたなんて驚きだね」
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深い森の奥で、世捨て人となった隠遁者が独りチェスに興じている姿を見かけた。
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