忘却
ぼうきゃく
名詞動詞-サ変動詞-他動詞頻度ランク #20744 · 青空 710 例
標準
lapse of memory
文例 · 用例
そのまちには、よく似た路地が蜘蛛の巣のように四通八達していて、路地の両側の家々の、一尺に二尺くらいの小窓小窓でわかい女の顔が花やかに笑っているのであって、このまちへ一歩踏みこむと肩の重みがすっと抜け、ひとはおのれの一切の姿勢を忘却し、逃げ了せた罪人のように美しく落ちつきはらって一夜をすごす。
— 太宰治 『ダス・ゲマイネ』 青空文庫
というのは、従来世に現われている蕪村論や芭蕉論は、すべていわゆる俳人の書いたものであり、修辞や考証の解説上で、専門的に入念を極めた絶好の書であるけれども、俳句そのものの本質しているリリックの真精神を意外に忘却しているものが多いのである。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
忘却という事がなかったら記憶という事は成り立たないと心理学者は言う。
— 寺田寅彦 『春六題』 青空文庫
忘却というものがなかったら生きていられないと詩人は叫ぶ。
— 寺田寅彦 『春六題』 青空文庫
その、「二箇のズルフオンアミド基」を有する高級化學療法劑に就いては、かねて新聞廣告に依つても承知してゐたのでありますし、いま自ら購ひ求めて、藥品に添附されて在る一枚の效能書をつくづく眺め、熟讀して、腰の腫物を忘却してしまふほど安心したのであります。
— 太宰治 『知らない人』 青空文庫
あけたら、たちまち三百年の年月と、忘却である。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
我祖先が、始めて神秘な山へ印した足跡を、大切に保存しないということは、永久に続く登山者をも、やがて忘却してしまうことだ。
— 小島烏水 『不尽の高根』 青空文庫
渋味は甘味の否定には相違ないが、その否定は忘却とともに回想を可能とする否定である。
— 九鬼周造 『「いき」の構造』 青空文庫
作例 · 標準
過労が原因で、一時的に忘却が激しくなり、日常の些細なことも思い出せなくなった。
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「あれ、さっき言ったこと、もう忘却しちゃった?」と、同僚は呆れたように尋ねた。
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人は、辛い記憶を忘却することで、精神的なバランスを保っている側面もある。
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ウィキペディア
忘却(ぼうきゃく)とは個人の長期記憶に蓄えられた知識を失うこと。自発的か徐々に古い記憶が思い出せなくなる。 心理学的には様々な段階での失敗が考えられる。最近の調査ではべき関数が数学的に最も近い忘却の過程だと調べられている。
出典: 忘却 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0