市塵
しじん
名詞
標準
city dust
文例 · 用例
このおじさんは市塵庵春雄と号して、日本橋に在るその庵は、嘗て江戸派の元老俳人で市塵庵四季雄という老人が住まっていたそうですが、歿くなり、その後嗣者となってこのおじさんはお艶と共に彼の弟分の秋雄という弟子を連れて移り住んだのでした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
わたくしが鷺市会館の賄の買出しの事などで東京に出るときお艶に悦ばれるまゝちょくちょくこの市塵庵に立ち寄りましたが、そのお艶も遂に数年前に歿くなってしまいました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
ところで、お艶の生前は殆んどお艶とばかり交際っていたのでしたが、その死後、彼女の遺志から交際が付きましたこのお艶のおじさんである市塵庵春雄は、わたくしとの間に妙な情緒の縺れをつくって来ました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
わたしはまだそれほど打ち融けたがらないおまえに市塵庵の茶室の壁に肩を並べて凭れ、肩に手をかけさして貰った。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
そのためとしてわたしは彼の勧めにより、その時|凋落の底にある江戸座の俳人の元老市塵庵四季雄の門人となったものだが、そして師匠がわたしの身の上に望んだ事は、自分同様一生の独身であった。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
彼はお艶との恋愛事件から親の代よりの職業を退いてわたしの市塵庵に入り、わたしの弟分の俳人となり、それから江戸派の俳句をわたしと共に現代に再興するに与って力があった。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
わたしにもし万一なことがあった場合に市塵庵の当主となり、江戸派の俳句を指揮して行くのは彼であるであろう。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
わたしの躾けは、この事を決行するまえおまえがわたしから逃れも騙しも出来る余悠の時日を与えるように、その日より四五日以前の市塵庵の茶の間でわたしはおまえにそれを明かした。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
作例 · 標準
窓の外には、車の往来で舞い上がる市塵が厚く積もっていた。
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久しぶりに換気のため窓を開けると、市塵が部屋中に舞い込んだ。
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古い写真には、明治時代の東京の街並みと、その中に漂う市塵が写っていた。
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ウィキペディア
『市塵』(しじん)は、藤沢周平の長編時代小説。新井白石が主人公。第40回芸術選奨文部大臣賞受賞作。 1988年に講談社で刊行。のち講談社文庫 (上下、改版2005年)、『藤沢周平全集 第22巻』(文藝春秋)、新潮文庫(上下、2022年)で再刊。
出典: 市塵 — ウィキペディア / CC BY-SA 4.0