富士
ふじ
名詞頻度ランク #8241 · 青空 3426 例
標準
Mount Fuji
文例 · 用例
私はそのスリツパをはいて、二階の廊下を懷手して、ぶらぶら歩き、ときどき富士を不機嫌さうに眺めて、やがて部屋へはひつて、こたつにもぐつて、何もしない。
— 太宰治 『九月十月十一月』 青空文庫
飛蟻とぶや富士の裾野の小家より 広茫たる平原の向うに、地平をぬいて富士が見える。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
次にその飛翔している空を通して、遠望に富士を描き出しているので、山麓の小屋と関聯して、平原一帯の風物が浮びあがって来るのである。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
皆不折が書いたので水彩の方は富士の六合目で磊々たる赭土塊を踏んで向うへ行く人物もある。
— 寺田寅彦 『根岸庵を訪う記』 青空文庫
興津を過ぐる頃は雨となりたれば富士も三保も見えず、真青なる海に白浪風に騒ぎ漁る船の影も見えず、磯辺の砂雨にぬれてうるわしく、先手の隧道もまた画中のものなり。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
沼津を過ぐれども雨雲ふさがりて富士も見えず。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
さきの日国府津にて宿を拒まれようやくにして捜し当てたる町外れの宿に二階の絃歌を騒がしがりし夕、夕陽の中に富士|足柄を望みし折の嬉しさなど思い出してはあの家こそなど見廻すうちにこゝも後になり、大磯にてはまた乗客増す。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫
隣りに坐りし静岡の商人二人しきりに関西の暴風を語り米相場を説けば向うに腰かけし文身の老人御殿場の料理屋の亭主と云えるが富士登山の景況を語る。
— 寺田寅彦 『東上記』 青空文庫