懊悩
おうのう
名詞動詞-サ変動詞-自動詞
標準
anguish
文例 · 用例
懊悩の中に神田の法律学校に通って三月も経ましたろうか。
— 国木田独歩 『運命論者』 青空文庫
この娘は恋の懊悩の為、この年の翌々年、宝永二年に死んでしまうことになっているが、人間は単に恋のような精神的の苦悩の為に滅多に死ぬものではないと私は思う。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
垢抜して色の浅黒いのが、絞の浴衣の、糊の落ちた、しっとりと露に湿ったのを懊悩げに纏って、衣紋も緩げ、左の手を二の腕の見ゆるまで蓮葉に捲ったのを膝に置いて、それもこの売物の広告か、手に持ったのは銀の斜子打の女煙管である。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
伯爵は懊悩がり、「そんなに急らんでもまあ可えわい。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
」 綾子は茫然瞳を据えて、石に化せるもの数分時、俄然跳起きて、「ああ、懊悩い。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
お通は清川|何某とて、五百石を領せし旧藩士の娘なるが、幼にして父を失い、去々年また母を失い、全く孤独の身とはなり果てつ、知れる人の嫁入れ、婿|娶れと要らざる世話を懊悩く思いて、母の一周忌の終るとともに金沢の家を引払い、去年よりここに移りたるなり。
— 泉鏡花 『妖僧記』 青空文庫
その懊悩さに堪えざれば、手を以て去れと命ずれど、いっかな鼻は引込まさぬより、老媼はじれてやっきとなり、手にしたる針の尖を鼻の天窓に突立てぬ。
— 泉鏡花 『妖僧記』 青空文庫
教育界の大問題、そんな見出しの新聞記事を想像するに及んで、胸の懊悩は極まった。
— 織田作之助 『雨』 青空文庫
作例 · 標準
例句