宝の山
たからのやま
表現名詞
標準
gold mine
文例 · 用例
こういう点では新聞の社会記事というものは言わば宝の山の地図、しかも間違いだらけの粗末な地図以上の価値はないと言ってもよい。
— 寺田寅彦 『ニュース映画と新聞記事』 青空文庫
たしか「少年文学」と称する叢書があって「黄金丸」「今弁慶」「宝の山」「宝の庫」などというのが魅惑的な装幀に飾られて続々出版された。
— 寺田寅彦 『読書の今昔』 青空文庫
宝の山に入りながらではないが、我が荷物ながらオイ遣せと持出す訳にも行かず、知らぬ顔に一、二町スタスタ行き過ぎると、忽ち背後からオーイオーイと呼ぶ者がある。
— 押川春浪 『本州横断 癇癪徒歩旅行』 青空文庫
宝の山を暗まぎれ、首領の隠家に泳がそうと、※のかかる巌陰に艪づかを掴んで、白髪を乱して控えたのは、崖の小屋の総六で、これが明方|名告って出た。
— 泉鏡花 『わか紫』 青空文庫
関西第一の酒造地に泊つて、酒が飲めないとは『宝の山に入りながら……』の嘆なきにしもあらずだつた(財布には五厘銅貨が六銭あるだけ)。
— 広島・尾道 『行乞記』 青空文庫
渠の前には、一座滑かな盤石の、其の色、濃き緑に碧を交へて、恰も千尋の淵の底に沈んだ平かな巌を、太陽の色も白いまで、霞の満ちた、一塵の濁りもない蒼空に、合せ鏡して見るやうな……大さは然れば、畳三畳ばかりと見ゆる、……音に聞く、飛騨国吉城郡神宝の山奥にありと言ふ、双六谷の名に負へる双六巌は是ならむ。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
その頭、禿げゆくままに、白壁の土蔵の二階、黄金の宝の山は(目もはゆし、暗の中にも。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫
年老いしこの商人も近つ代の栄の王者、幾人の小僧つかひて、人の見ぬ土蔵の中にきづきたり、宝の山を。
— 石川啄木 『詩』 青空文庫